(ブルームバーグ):世界最大のコメ輸入国であるフィリピンは農家を支援するため、コメの輸入禁止措置を来年4月まで延長する方針だ。これにより、コメの国際価格にさらなる下押し圧力がかかる可能性が高い。
ローレル農相は6日、下院公聴会で、来年1月の約1カ月間に限って輸入を認め、少なくとも30万トンを海外から調達する必要があると述べた。
コメの輸入停止は当初、9月1日から60日間の予定だった。
禁輸措置延長の狙いは、特に収穫最盛期において国内農家を保護することだ。ただ、世界的には供給が高水準に維持されることになり、コメの価格を一段と押し下げる可能性がある。
農産物商社オラム・アグリ・インディアの副責任者ニティン・グプタ氏は、フィリピンの市場離脱が長期化すれば、コメ価格にとって「弱気材料」がさらに増えると指摘した。主要生産地で豊作が見込まれる一方、主要輸入国の需要が弱まっているため、価格は既に下落傾向にあるという。

アジアの指標となるタイのコメ価格は最近、8年ぶりの安値に下落した。最大輸出国であるインドでモンスーン期の作付けが順調なことが背景にある。国連食糧農業機関(FAO)は2025-26年度の世界生産量が過去最高の5億5640万トンに達すると予測しており、在庫の積み増しにつながりそうだ。
コメ価格は24年、旺盛な需要と供給懸念から急伸し、約15年ぶりの高値を付けていた。
原題:World’s Biggest Rice Buyer Philippines to Prolong Import Ban (1)(抜粋)
--取材協力:Pratik Parija.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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