ブラジルでメタノールの中毒事件がアルコール飲料業界を揺るがしている。最大州サンパウロ州では売り上げが最大30%減少する可能性があるとしてバーやレストランから悲鳴の声が上がっている。

ブラジル各地ではメタノールが混ざったアルコール飲料を飲んで中毒になるケースが広がっている。

ブラジル保健省によると、5日夜の時点でメタノール中毒の疑い事例が225件報告され、そのうち192件がサンパウロ州に集中している。これまでのところ15人が死亡したという。

パディリャ保健相は3日、CNNブラジルのインタビューで「この犯罪の全容が明らかになるまで人々は蒸留酒の摂取を控えるべきだ」と述べ、出荷元がはっきりしない場合は飲酒を避けるように求めた。

サンパウロ州の業界団体の5日の発表によると、ウオッカやウイスキー、ジンなど蒸留酒の過去1週間の売り上げは一部店舗で最大50%減少するなど大きな打撃になっている。こうした中、地元のバーからは蒸留酒を避ける客が増える一方、ビールの売り上げが伸びたという声も聞かれる。

事件を受け、ブラジル政府は5日、解毒剤としてメタノールの中毒治療に使われる医薬用エタノールの供給を開始した。また、サンパウロ州政府はバーや酒販店で偽造ボトルの調査を進めていて、9月29日以降で7000本余りを押収している。

原題:São Paulo Bars’ Liquor Sales Fall After Methanol Poisonings (2)(抜粋)

--取材協力:Raphael Almeida.

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