米ボーイングが主力旅客機「737MAX」の生産ペースを10月にも月42機に引き上げる可能性があることをサプライヤーに指示した。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。米規制当局からの承認確保に取り組む中で、同社内で楽観的な見方が広がっていることを示唆する動きだ。

ボーイング「737MAX」の機体(シアトル)

社外秘だとして匿名を条件に語った関係者らによると、ボーイングは生産ペースを来年4月にさらに加速させ、2026年後半にもう一段引き上げる準備を進めている。来年末までには月産約53機に達する可能性があるという。

投資家にとって、ボーイングの最重要製品である737MAXの生産ペース引き上げは、同社の経営陣が工場の運営および米連邦航空局(FAA)からの信頼を取り戻そうと前進している明確な兆候だ。競合のエアバスが先行する中、ボーイングは過去数年にわたって相次いだ不祥事に直面してきた。

ボーイングのケリー・オートバーグCEO

ボーイングの月産ペースは、大惨事寸前の事故を受けて経営陣が大幅に入れ替わった昨年以降、38機に制限されている。

一方、社内の計画はサプライヤーが設備や人員を確保するための準備段階に過ぎず、最終決定ではないと関係者の一部は指摘した。

新型コロナウイルス禍前の生産水準回帰に向けた初期段階の増産実現には、シアトル周辺の工場および数百社のサプライヤーが品質を維持したまま増産に対応できることをボーイングがFAAに説得する必要がある。

FAAはボーイング増産の可能性についての問い合わせに対し、「安全性がわれわれのあらゆる行動の原動力だ。FAAは引き続きボーイングの生産工程を監督し、安全に増産できるかを同社と協議する」と回答した。

ボーイングはコメントを控えた。

アラスカ航空のボーイング「737MAX-9」

原題:Boeing Said to Prepare for 737 Rate Hike as Soon as October(抜粋)

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