トランプ米政権は、同伴者なしで入国した10代の移民に対し、自発的に母国へ帰ることを条件に金銭を支給する新たな制度の準備を進めている。米厚生省が明らかにした。

同制度はまず17歳の移民を対象に始まり、移民判事による申請承認後に本人が母国に到着すると2500ドル(約37万5000円)を支給するという。事情に詳しい関係者が匿名を条件に明かした。

難民定住局を管轄する厚生省は声明で、この制度の目的は家族の同伴なしで入国した子どもたちに選択肢を与えることだと説明している。政府によると、同局の保護下にある移民の子どもは8月時点で平均約2000人に上る。

当局者は選択の余地なく密入国させられた未成年者の多くに帰国するかどうか自分で決める機会を与えるとしている。また、あくまで任意の制度だという。

一方、支援団体や移民専門の弁護士は、制度の対象が17歳未満に拡大され、14歳前後の子どもも対象になる可能性があると警鐘を鳴らしている。この制度が未成年者に亡命などの保護申請を取り下げさせたり、18歳未満の子どもを国外退去から守る法的保護を放棄させたりする恐れがあるという。

子どもの権利擁護団体「Kids in Need of Defense」のウェンディ・ヤング代表は、この取り組みを「言語道断な権力の乱用」と断じる。

ヤング氏は「この制度は同伴なしで入国した子どもたちの手続きを保障する法律を踏みにじるもので、暴力や人身売買、虐待、迫害、その他の深刻な危険から最も弱い立場にある子どもたちを守るという米国の長年の方針にも反している」と訴えた。

ヤング氏は国土安全保障省に同制度の中止を求める考えだ。

原題:US to Offer Migrant Teenagers $2,500 to Voluntarily Return Home(抜粋)

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