米シンクタンク、ヘリテージ財団から週末かけ十数人のスタッフが退職し、競合組織に転職した。かつてワシントンで保守派の中心的存在であり、トランプ大統領の知的なよりどころとされる同シンクタンクで、イデオロギーを巡る内紛が起きている兆候が新たに表面化した。

ペンス元副大統領が設立した新興シンクタンク、アドバンシング・アメリカン・フリーダム(AAF)の発表文書によれば、ヘリテージ財団の法務や経済、データのチーム責任者を含むチーム全体がAAFに移籍した。ペンス氏はかつて共に政権を運営したトランプ氏に批判的な共和党員として、頭角を現している。

ペンス氏は米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューで、自身が長年称賛してきたヘリテージ財団は今や、「原則を放棄し」、孤立主義的な要素を受け入れ、とりわけ一部の関税を支持していると指摘した。

「これらの人材が私たちの方に移籍しているのは、ヘリテージ財団やその他のコメンテーターらが大きな政府によるポピュリズムを受け入れ、反ユダヤ主義に寛容になっているからだ」とペンス氏はWSJに語った。

トランプ政権の政策青写真とされる「プロジェクト2025」を策定したヘリテージ財団では、数カ月前から著名スタッフの離脱が続き、混迷が生じている。ケビン・ロバーツ会長が保守派ブロードキャスターのタッカー・カールソン氏を公に擁護したことで、ヘリテージを巡る混乱は一層深まった。カールソン氏はホロコースト否定発言で知られる反ユダヤ主義のインフルエンサー、ニック・フエンテス氏を番組に招いたことで批判されている。

ヘリテージ財団のアドバンスメント責任者であるアンディー・オリヴァストロ氏は22日、当財団は「常に議論を歓迎してきたが、使命への整合性と団体への忠誠心は不可欠であり、交渉の余地がない」との声明を出した。

「一部のスタッフは異なる道を選んだ。ある者は混乱によって、ある者は不忠実によって去っていった」と述べた。

原題:Heritage Foundation Suffers Defections as MAGA Tensions Grow(抜粋)

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