(ブルームバーグ):米ゼネラル・モーターズ(GM)や現代自動車、フォード・モーターなどの自動車メーカーは、米政府の電気自動車(EV)向け税額控除が終了したものの、一部のEVモデルを対象に割引を継続すると発表した。好調な販売の勢いを維持する狙いがある。
トランプ政権はEV購入に7500ドル(約110万円)の税額控除を付与する措置を9月30日で終了させ、排ガス規制も緩和した。これを受け、米国の自動車メーカー各社は既存のEV在庫を円滑に売却するために割引継続に動いている。
具体的には、GMやフォードは輸送中または販売店にあるリース用車両に7500ドルの割引を提供する。一方、現代自の割引はリースと購入の双方に適用される。現代自は2025年型「アイオニック5」に対して7500ドルを現金で値引きする。26年型モデルについてもグレードに応じて価格を最大9800ドル引き下げる。
トランプ氏による政策変更を受け、自動車各社はガソリン車やハイブリッド車を増やす動きを強めており、EV販売は減速が予想されている。米国では価格の高さや充電インフラの不足が課題となり、バッテリーだけで動くEVの売れ行きはよくない。
フォードのジム・ファーリー最高経営責任者(CEO)は、米国市場の約10%を占めるゼロエミッション車のシェアが「5%に落ち込んでも驚かない」と語り、EV市場は想定よりはるかに小さくなると30日に指摘している。
自動車各社の利益は、輸入車および自動車部品に課されている関税によって圧迫されている。トランプ氏が今夏に発表した通商合意に基づけば、輸入車には1台当たり5500ドル、輸入部品を使用して米国内で製造された車両には1000ドルの追加コストがかかると、調査会社コックス・オートモーティブが試算している。
EV普及に差
コンサルタント会社アーンスト・アンド・ヤング・グローバル傘下のEYが9月に発表した予測によれば、米国のEV販売比率は2029年までに11%と、24年の8.1%からの大幅な伸びは予想されていない。
一方、欧州では32年までにEVが新車販売の半数を超える見通し。中国でも33年に半数を超える見込みで、各国・地域での普及に差が出てくるもようだ。
こうした状況に対応するため、自動車各社は異なる戦略を採用している。現代自は、55億ドルを投じて建設した米ジョージア州サバンナの工場でEVとハイブリッド車の両方を生産できるように再編しているが、EV市場を軽視しているわけではない。
現代自の北米部門でCEOを務める、ランディ・パーカー氏は9月30日、「9月の売れ行きが好調だったため、10月やおそらく11月には調整されると確信しているが、EV市場は今後、落ち着いた状態に戻るだろう」と記者団に語った。
原題:GM, Hyundai, Ford Extend EV Discount as Tax Credit Expires (1)(抜粋)
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