“決選投票”に影響?総裁選に異変

喜入友浩キャスター:
一連の事態を受けて、自民党の総裁選挙管理委員会が声明を発表しました。

声明によりますと、「候補者陣営の間での感情的な対立を煽る恐れのある事案」などについて、各陣営の責任者に厳重注意をしたということです。

注意をおこなった陣営を名指しはしていないものの、動画配信サイトにコメント投稿の要請をしていた、小泉氏の陣営を念頭に置いたものとみられます。

小川彩佳キャスター:
自民党の総裁選挙管理委員会が厳重注意を出したことは、どう受け止めますか。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
選挙期間中に、選管の委員長がこうした声明を出すのは極めて異例なことなので、相当深刻に受け止めていると思います。候補者にも深刻に受け止めて、対応を考えてもらいたいと思います。

そもそも今回の問題の本質は、自民党の総裁選の中で、相当稚拙なやらせがあったということが明るみに出たわけです。しかしもっと本質的なのは、元デジタル担当大臣という政府のデジタル政策の中枢にいた人が、“やらせ”を行ってしまったことは深刻な問題です。

つまり、こういうことが他の選挙でも行われていたのではないかという疑念を生むことは間違いありません。そこは自民党全体の問題として、疑念を晴らす必要があると思います。

小川キャスター:
国民の声を聞くとしながら、国民の声を偽装していたということになります。信頼の根幹に関わりますし、これが他でも行われていたのかどうかという疑念もあります。

小泉氏がここまで他の候補を離してリードしていたと見られていましたが、今回の問題は総裁選レースにも影響が出てくるのでしょうか。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
総裁選も終盤に入ってきましたが、今のところ小泉氏と高市氏が、党員票を中心にリードしているのではないかと言われており、この2人による決選投票になるのではないかと言われていました。しかし、ここにきて林氏が議員票を中心に暴追しており、場合によっては、小泉氏と林氏の決選投票の可能性もあるという見方が広がっています。

そのとき一つポイントになるのが、1回目の投票で高市氏に投票した陣営が、果たして決戦でどちらに投票するかということです。

どちらかというと高市氏の支持者は、林氏のリベラル色とは遠いので、やや保守的な小泉氏の方に票が集まるのではないかと言われていました。しかし、この“やらせコメント問題”で、小泉氏の陣営が高市氏の陣営を批判するような投稿もあったので、高市氏陣営が非常に反発を強めています。高市氏の票が、もしかすると小泉氏ではなく、林氏の方にも向かうのではないかという動きがあり、この問題は総裁選そのものにも非常に大きな影響を与えています。

小川キャスター:
そもそもなぜここで浮上してきたのが、林氏なのでしょうか。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
それは10月下旬の外交日程と関係があります。10月下旬にマレーシアでASEANの関連会議があり、日本の総理大臣とトランプ大統領も参加します。そして、トランプ大統領が10月28日頃に来日し、APECの首脳会談も韓国で行われます。非常に重要な国際会議と日米首脳会談があるので、外交安全保障や国内政策に通じた林氏の安定感を議員の中では評価する動きが広がっているということだと思います。

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<プロフィール>
星 浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身
政治記者歴30年