(ブルームバーグ):国際的な大手銀行は、2027年に発効する欧州連合(EU)の新規制を受け、域内の拠点に最大1000人の人員を追加する見込みだ。
CRD6(自己資本要求指令6)として知られる規則改正により、米銀などEU圏外の銀行は顧客対応部門だけでなくコンプライアンス(法令順守)などのバックオフィス業務でもEU内の人員を配置する必要が生じる見通し。
業界団体、フランクフルト・マイン・ファイナンスのプレジデント、オリバー・ベーレンス氏は、採用や異動による域内人員増強が必要になるだろうと指摘した。
同氏によると、域内で事業を展開する銀行が、最大3500億ユーロ(約61兆2000億円)相当の金融資産をEU内に移管するとの試算もある。
国際的な銀行は長らくロンドンを拠点にEU顧客にサービスを提供してきたが、英国のEU離脱決定後、大陸側での業務を拡大してきた。
欧州当局は一貫して、EU関連のリスクが域内で管理されることを銀行に求めており、今回の規制改正はその流れを強化するものだ。

CRD6は、EU域外からの融資の制限に加え、加盟各国による外国銀行業務の監督手法を調和させることを目的としている。これにより域内の金融勢力図にも変化が及ぶ可能性がある。
クリフォード・チャンスの金融サービス・資産運用担当弁護士フレデリック・ラクロワ氏(パリ在勤)はインタビューで、この改正は米英を中心とするいわゆる第三国の銀行にとって、欧州での法人組織の在り方を見直す機会になると語った。
実際、複数の銀行は欧州中央銀行(ECB)の所在地であるフランクフルトに名目上のEU本社を構えつつ、多数のトレーダーやバンカーをパリに置いている。アムステルダム、ダブリン、ルクセンブルク、ミラノの拠点を拡張する銀行もある。
ラクロワ氏は、CRD6施行後は、EU本部を一国に置きつつ別の国で事業を拡大する銀行に対し、各国当局が監視を強める可能性があると指摘した。
原題:Global Banks May Add 1,000 Jobs in EU on New Rules, Lobby Says(抜粋)
--取材協力:Arno Schuetze.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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