(ブルームバーグ):米ニューヨーク連邦地裁で有罪評決を受けたヒップホップ界の大物ショーン・コムズ被告は、今後の控訴審で1人の女性弁護士に希望を託す。
破綻した暗号資産(仮想通貨)交換業者FTXの共同創業者サム・バンクマンフリード(SBF)被告、2021年の破綻がウォール街を震撼(しんかん)させたアルケゴス・キャピタル・マネジメントの創業者ビル・フアン被告もコムズ被告と同じだ。
一審で有罪と認定された3人は、確定すれば、数十年収監される恐れがある。ニューヨーク州の控訴専門弁護士アレクサンドラ・シャピロ氏は、長期刑に直面する富裕層の依頼人にとって「最後の頼みの綱」だ。
シャピロ氏は3人の訴訟を含め数々の訴訟を担当する。最も付け入る隙のない有罪判決ないし評決さえ覆すと評判が高い。勝訴の実績はNY大手法律事務所の羨望の的だ。
刑事事件の有罪判決や評決を覆す見込みはまずないと考えられるが、シャピロ氏はホワイトカラー犯罪の弁護で成功を重ねた。インサイダー取引や証券詐欺、価格カルテルで有罪と認定され、控訴する依頼人の「駆け込み寺」となっている。
シャピロ氏の勝率は格段に高い。今夏も2件の完全な逆転を勝ち取った。このうちHSBCホールディングスの元グローバル外国為替責任者マーク・ジョンソン氏は、顧客の大口注文を事前に知り、先回りして取引を行ったとして、2017年に詐欺罪で有罪と認定された。その後2年の刑期も務めた。
ジョンソン氏は、金融市場の微妙なニュアンスを素早く理解するシャピロ氏に感銘を受けたという。「真実を探ろうとする姿勢を8年間保ち続けてくれた。それが恐らく彼女の唯一最大の特長だと思う」と振り返った。

原題:Bill Hwang, SBF, Diddy Rely on Wall Street’s Last-Chance Lawyer (1)(抜粋)
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