トランプ米大統領はこれまで、主にフロリダ州の私邸マールアラーゴの改修や自身の名を冠したマンハッタンの高層ビル建設で培った美的感覚をホワイトハウスの改装に生かしてきた。だが、最新の改装は装飾よりも前任者を不快にさせる狙いがあるように見受けられる。

ホワイトハウスの公式SNSは24日、ローズガーデン横の回廊に新設された「プレジデンシャル・ウォーク・オブ・フェーム」を公開した。壁面には歴代大統領の白黒写真が金の額縁に収められ、ジミー・カーター、ロナルド・レーガン、ジョージ・H・W・ブッシュ、ビル・クリントン、ジョージ・W・ブッシュ、バラク・オバマ各氏やトランプ氏自身の姿が確認できる。

しかし、ジョー・バイデン前大統領のスペースに掲げられているのは、自動で署名を複製する「オートペン(署名機)」の写真だ。

大統領公邸と、大統領執務室があるウエストウイング(西棟)を結ぶこの回廊は、ジェファーソン大統領の時代に整備された。各国要人のホワイトハウス訪問の際にしばしば舞台となる象徴的な空間だ。

オートペンの写真は、バイデン氏が重要文書への署名を手書きで行わず、同機器に過度に依存していたとするトランプ氏の主張を踏まえたものだ。オートペンは数十年前から使われているが、トランプ氏はバイデン氏の利用頻度を問題視してきた。バイデン氏は昨年、健康や職務遂行能力への懸念を背景に、大統領再選を目指す選挙戦から撤退している。

トランプ氏とその支持者は、バイデン氏がオートペンで署名したとされる文書は有効でない可能性があると繰り返し主張。トランプ氏は先週の英国での記者会見でも、オートペンが「違法に使用された」と話していた。

トランプ氏は「(バイデン氏が)命令を出したことはなかった」としている。

一方、バイデン氏は7月に米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)のインタビューで、大統領任期末に行った恩赦や減刑について口頭で承認していたと説明し、「私が全ての決定を下した」と述べた。

原題:Trump ‘Walk of Fame’ Mocks Biden With Portrait of Autopen(抜粋)

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