(ブルームバーグ):日本銀行が7月30、31日に開いた金融政策決定会合では、物価上昇が続く中、今後の利上げに前向きな意見が相次いでいたことが分かった。25日に議事要旨を公表した。
先行きの金融政策運営の議論で、ある委員は、物価上振れへの対応が遅れれば、日本経済に大きなダメージを与えるとし、「適時に利上げを進めることが、リスク・マネジメント上、重要である」との認識を示した。米経済が持ちこたえれば、早くて年内にも様子見モードが解除できるとの意見もあった。

ある委員は、0.5%程度の政策金利が景気を刺激も冷やしもしない中立金利を大きく下回っていると指摘。物価が強めで推移する中で「政策金利を中立金利に向けて戻していくことが、経済のゆがみを抑制する上で望ましい」と述べた。別の委員も「今後も可能なタイミングで利上げを進めていくべきだ」と語った。
会合では政策金利の据え置きを全員一致で決めた。その次の今月19日の会合では高田創、田村直樹の2人の審議委員が、政策維持に反対して利上げを提案した。今回の議事要旨からは、7月会合の段階で両氏以外にも利上げに前向きな政策委員がいた可能性がうかがえる。
25日の外国為替市場の円相場は、一時1ドル=148円台半ばまで上昇した。7月の日銀会合議事要旨を受けて追加利上げ期待が高まり、円が買われている。
ある委員は、先行きのインフレ率がいったん低下する中心見通しを前提にすれば「利上げの判断は注意深く行う必要がある」と主張。その一方で、「物価上昇率が2%を上回る状況が長引くようであれば、時機を失することなく緩和度合いの調整を進めることが適当だ」としている。
今月の会合では、保有する上場投資信託(ETF)の売却を決めたが、7月会合で何らかの議論が行われた形跡はなかった。植田和男総裁はETF処分を電撃的に決めた背景について、「事柄の性格上、事前のガイダンス等なかなかできにくい手段であった」と語った。
(議論の詳細や市場の動きを加えて更新しました)
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