沖縄県の老舗ビールメーカーであるオリオンビール(豊見城市)が25日に東京証券取引所プライム市場へ新規株式公開(IPO)した。上場後の株価動向は今後のIPO銘柄の需要を計る試金石になりそうだ。

市場の取引が始まった午前9時3分時点で買い注文が殺到し、仮条件の上限となった公開価格の850円で買い気配になっている。差し引き約1900万株の買いになっている。

英運用会社M&Gインベストメンツや米運用会社ニューバーガー・バーマン、英運用会社ゼナーアセットマネジメントが購入に関心を示していた。株主の米投資会社カーライル・グループと野村ホールディングス傘下の投資会社は、売り出す株数を積み増し、最終的なIPO規模は約230億円と当初の170億円から膨らんだ。

事情に詳しい複数の関係者によると、オリオンビールIPOへの応募倍率は全体で60倍超だった。個人投資家や地方金融機関などリテールの需要は配分された株数の約90倍に達し、海外投資家を含む機関投資家は割り当てられた株数に対して約40倍の申し込みがあったと関係者は述べた。最終的な投資家への配分比率は、リテールが約48%で機関投資家は約52%だったという。

オリオンビールのグラスと缶ビール

上場後も需要を集めて株価が堅調に推移すれば、上場を控える企業群に追い風となりそうだ。年初からの国内IPO市場で大型案件はJX金属のみで総額6220億円が調達された。東京地下鉄(東京メトロ)やキオクシアホールディングスがあった昨年1年間の9610億円と比べると今年のIPO市場の動向はやや減速感がある。

今期(2026年3月期)調整後営業利益は39億8000万円と前期比13%増の予想。企業が効率的に利益を上げているかを計る自己資本利益率(ROE)については中長期的に約15%を目指すとも発表した。前期は10.8%だった。オリオンビールはカーライルと野村HDが19年に買収しており、沖縄県の製造業として初の上場企業になる。

IPO案件全体を取り仕切る主幹事は野村証券、みずほ証券、SMBC日興証券が務めた。株式の一部は欧州やアジアを中心とする海外投資家に販売され、全体の38%に相当する約1000万株が海外で売り出された。

(第2段落に取引開始時の値動きを追加して更新します)

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