(ブルームバーグ):シンガポールのシャンムガラトナム大統領は5日、国内世論を操作しようとする外国勢力の動きに抵抗しなければならないと強調した。自らの目的を推し進めようとする外国勢力は「近遠を問わず」存在すると警告した。
大統領は5月の総選挙後に招集された議会の開会初日の演説で、「特に地域および世界レベルで緊張が突然高まりうる時代において、われわれは自国の安全保障を決して当然視することはできない」と述べ、「外国勢力は、自らの目的を推し進めるため、国内世論に影響を及ぼそうとするだろう」と指摘した。
大統領は、シンガポールがサイバー攻撃や情報操作などを組み合わせたハイブリッド戦争への対応など、新たに出現する脅威に対抗する能力を引き続き強化していくと述べた。
今回の演説は、ウォン首相が挙げる雇用の安定や社会的流動性といったその他の課題とも内容が重なった。同首相は、シンガポールが世界的な貿易障壁の高まりや人工知能(AI)の台頭によるリスクに直面する中、国民の雇用が政府の最優先事項になると表明している。
「世界の多くの地域で、社会の分断が深刻化している」と大統領は指摘した。
シンガポール政府は先月、今年後半の経済見通しは不透明感が残っており、年内にテクニカルなリセッション(景気後退)に陥るかどうか予測するのは時期尚早だと表明した。
大統領は、「われわれは日々の生活での切迫感も認識している」と述べ、「国際紛争や関税、サプライチェーンの混乱によるコスト上昇が家計に重くのしかかっている」とし、政府は経済の不確実性への対処で国民を支援するとした。
原題:Singapore President Warns of Manipulation by Foreign Actors(抜粋)
もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.