(ブルームバーグ):トランプ米政権による不法移民取り締まりの実行を担う移民・税関捜査局(ICE)は、ボストンと近隣地域で週末に一斉摘発を行い、数十人を拘束した。米国土安全保障省の報道官が明らかにした。
今回の取り締まりは、司法省が同市とミシェル・ウー市長(民主党)を提訴し、不法移民に寛容な「聖域都市(サンクチュアリシティー)」と政権との対立が激化する中で実行された。市当局は、連邦機関による摘発は必要なく、権威主義的な行き過ぎと批判した。
ICEによれば、5月に続く今回の一斉摘発は「パトリオット2.0」と呼ばれ、連邦当局の身柄拘束要請にもかかわらず釈放されていた組織犯罪や麻薬取引、性的暴行の被疑者らが拘束された。聖域都市政策によって、危険人物が国外退去を免れ、地域社会にとどまることが可能になったとICE当局は主張した。
トランプ政権は移民政策への抗議活動などに対応する治安維持対策として、首都ワシントンとロサンゼルスに州兵を派遣。ワシントンには約2000人を展開した。犯罪対策の一環としてシカゴに部隊を投入すると繰り返し示唆している。
テニスの全米オープンをニューヨークで観戦したトランプ大統領は、ワシントンに戻る際に記者団に対し、「シカゴの問題はすぐに解決できるだろう。一両日中にわれわれがどこに行くか決めるつもりだ」と語った。
トランプ政権で国境管理・移民送還を統括し、「ボーダーツァー(国境の皇帝)」と呼ばれるトム・ホーマン氏は7日、CNNの番組で、シカゴで今週摘発が見込まれるかとの質問に対し、「その通りだ。全米の大部分の聖域都市で行われると考えてよい」と答えた。
イリノイ州のプリツカー知事は「イリノイ州は専制君主気取りの脅しには動じない」とX(旧ツイッター)に投稿し、強く反発した。
原題:ICE Raids Unfold in Boston as Trump Signals Chicago Is Next (2)(抜粋)
--取材協力:Vincent Lee、Chenny Chen.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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