米モルガン・スタンレーは8日、日本国内の不動産に特化した投資ファンドを立ち上げ、1310億円を調達したと発表した。国内を中心とした投資家から当初目標を7割ほど上回る金額を集め、不動産投資に対する関心の高さを示した。

発表資料によると、モルガンSのプライベート不動産部門であるモルガン・スタンレー・リアル・エステート・インベスティング(MSREI)が運用を担う。国内不動産への関心の高まりを受けて日本特化の不動産ファンドを組成したという。

東京や大阪などの主要都市における住宅やオフィス、物流施設などに投資する。投資家の大半は日本の年金基金や金融機関で、海外の政府系ファンドも参加した。当初の資金調達目標は750億円だった。

 

分散投資の一環として、インフレに伴う賃料上昇期待などを背景に不動産に対する投資家の関心は高まっている。三井住友トラスト基礎研究所の調査によると、不動産私募ファンドの運用資産額は増加傾向にあり、2024年12月末時点で40兆8000億円と1年前と比べて17%増加した。

同研究所私募投資顧問部長の前田清能上席主任研究員は「国内の金利上昇でも不動産価格の低下が見られず、円安で相対的に海外へ投資しにくい中、伝統的資産に代わる投資先の一つとして国内不動産が選好されている」と指摘。また、海外投資家も円安で日本への投資意欲が高いとみる。

今回のファンドには、世界最大級の年金基金である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も100億円の投資を決めた。同法人の開示資料で分かった。GPIFはオルタナティブ資産投資への取り組みを強化している。

MSREIのチーフ・インベストメント・オフィサーの板東徹氏は発表資料で、日本の機関投資家が不動産を含むオルタナティブ商品への配分を増やしており、グローバルな機関投資家の日本市場に対する関心も高まっているとの認識を示した。

(会社側の正式発表を受けて内容を更新したほか、市場関係者のコメントを追加しました)

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