タイでアヌティン新首相が誕生したことを受け、同国の大麻業界は追い風が吹くと期待している。アヌティン氏の主導で、タイはアジアで初めて大麻を合法化する国となった経緯がある。

アヌティン首相

アヌティン首相は、保健相だった2022年に大麻を解禁。しかしその後、業界は二転三転する政府方針に翻弄(ほんろう)されてきた。

23年に発足したタイ貢献党率いる政権で、当時のセター首相は大麻を再び麻薬に分類するという選挙公約を実行に移そうとしたが撤回。先月失職したペートンタン前首相は、娯楽目的での使用禁止と、医師の処方箋を必要とする医療用途に限定する方針を表明していた。

アヌティン氏率いる「タイの誇り党」は中間路線。大麻の解禁を維持したまま、娯楽目的の使用には制限を課す方針だ。地元メディアや海外メディアが「大麻キング」「大麻チャンピオン」などと呼ぶアヌティン氏は首相に選出された翌日の6日、閣僚候補との会合に大麻柄のシャツを着て現れた。

同氏は保守派で王室との強いつながりを持つ。議会最大勢力で民主派の国民党から支持を取り付けて少数与党の政権を率いており、4カ月以内の選挙実施や憲法改正に向けた取り組みの開始を約束している。

タイの大麻栽培施設

アヌティン氏が就任する数カ月前に、タイ貢献党が率いる政権は大麻業界への取り締まりを強化。数千の店舗に対する調査や数百店舗の閉鎖、ライセンスの停止が相次いだ。また、英国やインド、パキスタン、香港などに向かう違法な出荷が急増したとの報告を受けて密輸を防ぐための監視措置が強化されていた。

バックパッカーが集まるバンコクのカオサン通りで「ハイランド・カフェ」を経営し、大麻業界を代弁してきたラッタポン・サンラク氏は「今後は店の閉鎖や政治的パフォーマンスは減るだろう。法そのものというより執行環境が変わる可能性が高い」と語っている。

原題:Thai Cannabis Industry Eyes Revival Under PM Who Backed Its Rise(抜粋)

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