サンフランシスコで今週開かれるテクノロジー業界最大級の会合に、企業の最高経営責任者(CEO)や投資家、アナリスト、さらには一部の銀行関係者が集結する。会議では、2025年が同業界のM&A(企業の合併・買収)にとって過去最高の年になるかもしれないとのささやきが聞こえそうだ。

こうした会話はトランプ米大統領が半年前にホワイトハウスのローズガーデンで関税計画を発表し、リセッション(景気後退)懸念が強まって市場が方向感を失った当時には、とても考えられなかっただろう。

ゴールドマン・サックス・グループの「コミュナコピア&テクノロジー・カンファレンス2025」が8日、市内のパレスホテルで開幕する。この会議は各社が優先課題を明らかにし、将来の取引への布石を打つ場になる。経営陣は、既に発表したM&Aに対する懐疑論を払拭しようと、この会合を長年利用してきた。

今年登壇予定の企業は約260社。その中には、スケールAIに143億ドル(約2兆1200億円)を投じて間もないメタ・プラットフォームズ や、5月にインフォマティカ買収を決めたセールスフォース、スタートアップのソルバー買収を先週発表した半導体大手エヌビディアが含まれる。

ブルームバーグがまとめたデータによると、テクノロジー業界の年初来の取引額は6450億ドルに達し、21年以来の高水準となっている。当時はコロナ禍後の需要が一気に噴き出し、通年で9860億ドルを記録した。通信やメディアを含めた広義のテクノロジー業界では、今年の取引額が8220億ドルに上る。

M&Aの大型案件を後押しする要因があるとすれば、人工知能(AI)を巡る競争だ。メタやイーロン・マスク氏率いるxAIなどがデータセンターへの大規模投資に動く一方、ソフトウエア大手は、AIによるビジネスモデルや収益基盤の脅威に備える守りの手段として、M&Aに動かざるを得なくなる可能性が高いとディールメーカーはみている。

バークレイズのM&A部門トップ、アンドルー・ウォーバー氏は先週のインタビューで「AIの領域では想像を超える取引が出てくるだろう。今後1年以内に1000億ドル強の案件が出ても不思議ではない。巨大プラットフォームは大きな賭けに出るだろう」と語った。

こうした流れはテクノロジー分野にとどまらない。ゴールドマンも顧客に対し、26年が世界のM&A全般で過去最高の年になる可能性を指摘している。取引総額は3兆9000億ドルと予想し、21年の3兆6000億ドルを上回ると見込んでいる。

原題:CEOs Eyeing Tech Deals Record Flock to Key Goldman Confab(抜粋)

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