(ブルームバーグ):世界保健機関(WHO)は5日、ウイルス性感染症の「エムポックス(サル痘)」について、もはや世界的な公衆衛生上の緊急事態ではないとしてその宣言を解除した。ただ、根絶に向けてさらなる取り組みが必要だと強調した。
WHOのテドロス事務局長は1年余り前、痛みを伴う発疹などの症状を発症し、死に至ることもあるエムポックスの感染拡大を受け、緊急事態を宣言していた。
テドロス氏は記者会見で、「緊急事態宣言の解除は脅威が去ったという意味ではなく、対応が終了するわけでもない」と述べた。
一方、アフリカ疾病対策センター(アフリカCDC)はエムポックスについて、アフリカ全土にわたる公衆衛生上の緊急事態との立場を維持。同センターは昨年8月半ば、急速に拡大する変異株の出現を受け、緊急事態宣言を発出していた。
アフリカCDCは先月、エムポックスが風土病となり、犬やネズミ、コウモリ、リスにウイルスが確認されている国々では、エムポックスのワクチンを定期予防接種に組み込むべきだと訴えた。
エムポックスは天然痘ウイルスの近縁種で、主な流行は長く途上国に限られていた。しかし、2022年には欧州や米国に拡大。宿主から人への感染頻度も増えており、その抑制は十分に進んでいない。
アフリカ諸国での感染者数は今年8月までの8カ月で約10万6000人と、昨年全体を上回った。ただし、検査率は過去1年で2倍強に上昇し、66%に達している。
原題:WHO Ends Mpox Global Health Emergency, Calls for Vigilance (1)(抜粋)
もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.