トランプ米大統領一族は、この1年に設立された暗号資産(仮想通貨)関連企業2社からわずか数週間で約13億ドル(約1930億円)を手にした。トランプ氏は就任後、仮想通貨業界への支援を強めている。

新たな富をもたらしているのは、昨年9月に設立された仮想通貨関連企業ワールド・リバティ・ファイナンシャルとビットコイン採掘企業アメリカン・ビットコインだ。ブルームバーグ・ビリオネア指数によれば、一族の資産は現時点で77億ドルに上り、長年所有してきたゴルフ場やリゾート施設に匹敵する規模となっている。

エリック・トランプ氏(左)とドナルド・トランプ・ジュニア氏

ワールド・リバティにはトランプ氏の長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏と次男エリック・トランプ氏、それに三男のバロン氏も共同創業者に名を連ねている。

同社は今年9月1日に顧客によるトークン取引を始めたほか、先月はトークンを蓄積する契約を上場企業と結んでいる。ブルームバーグの指数は、こうした動きがトランプ一族の純資産を約6億7000万ドル押し上げたことを示した。

また、今年3月に設立されたアメリカン・ビットコインはナスダック上場初日の3日に株価が急騰。エリック・トランプ氏の持ち分は5億ドル超の評価額となっている。

 

トランプ一族にとっては、ニューヨークにあるトランプ・タワーやフロリダ州の私邸「マールアラーゴ」などの不動産資産より、仮想通貨が最も迅速に新たな富を築く手段になっている。

香港で開催された「ビットコイン・アジア」コンファレンスで語るエリック・トランプ氏

ホワイトハウスとトランプ・オーガニゼーションはいずれも問い合わせに対してコメントしなかった。ワールド・リバティの広報担当、デービッド・ワクスマン氏もコメントを控えた。

さらに別の構想も浮上している。先月ワールド・リバティのトークンの購入を始めた上場企業ALT5シグマに出資するソウル・ベンチャーズ共同創業者のウォーレン・フイ氏によると、一族は不動産資産を「トークン化」する計画を最近示唆したという。

ブルームバーグテレビジョンでアメリカン・ビットコインの関連資産の膨張について問われた際、エリック・トランプ氏は「この事業があってもなくても、われわれの人生は非常に恵まれている」と発言。一方で、仮想通貨や自身が支援する企業の宣伝にかなりの時間を割いていることは認め、優れた広報役になりたいと語った。

ドナルド・トランプ・ジュニア氏とエリック・トランプ氏(前列の左から2番目と3番目)

原題:Trump Family Adds $1.3 Billion of Crypto Wealth in Span of Weeks(抜粋)

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