(ブルームバーグ):アムンディ・ジャパンの宮内祐季・債券運用部共同部長は、日本銀行がインフレに対して後手に回る「ビハインド・ザ・カーブ」に陥っている可能性があり、債券市場では年内、超長期金利により大きな上昇圧力がかかるベアスティープ(傾斜)化が継続するとみている。
宮内氏は、石破首相の辞任表明を受けて日銀の10月利上げの可能性が低下するとともに、財政拡張への懸念も意識されやすくなるため、目先スティープニング圧力が高まるとの見方を示した。
日本の超長期金利は海外と比べて突出してスティープ化していると同氏は指摘。「需給や財政拡張懸念の影響も大きいが、日銀のビハインド・ザ・カーブも意識されており、利上げ局面でもフラット(平たん)化しない状況を生んでいる」と述べた。
中央銀行が利上げ局面に入ると、短中期金利が上昇する一方、将来的な物価抑制を見込んで超長期金利は横ばい、ないし低下して、利回り曲線はフラット化する傾向がある。宮内氏は、日銀の慎重な姿勢を考えると利上げは年明けにずれ込む可能性があり、「年内はスティープ化傾向が続く」とみる。

政局の混乱や日銀の利上げ遅れに対する懸念が強い中、債券、特に「超長期債への投資はやりにくい」と宮内氏。英国で財源の裏付けのない財政拡張を打ち出し金利が急騰したトラス・ショックのような事態は避ける必要があり、物価高には利上げで対応した方が良いと言う。
買い目線
消費減税が実施されたり、高市早苗氏が首相になって大幅な財政拡張を行ったりなど、テールリスク(可能性は低いが起こると多大な影響を及ぼすリスク)が顕在化しない限り、10年金利は1.8%に届かず、超長期金利のスティープ化も緩やかにとどまると同氏はみている。
宮内氏はまた、財務省が国債のさらなる発行減額に踏み切ると読む。「供給が圧倒的に需要を上回る」状況のためだ。利上げに向けた機運の高まり、補正予算編成で財政を巡る不透明感が低下することもあり、超長期金利は「年末から来年にかけて安定に向かう」と予想。利上げを受けて短い年限は持ちづらい半面、バリューがある超長期債には「買い目線」で臨むと話した。
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