米ジョージア州で建設中の現代自動車の製造施設で行われた不法移民の大規模な摘発を巡り、韓国の趙顯外相は6日、拘束された475人のうち300人以上が韓国国民であることを確認し、必要であれば自身がワシントンを訪問して事態の打開を図る考えを示した。

米連邦当局は、ジョージア州サバンナ近郊の電気自動車(EV)用バッテリー工場の建設現場で一斉摘発を実施。これを受け、趙外相は6日にソウルで緊急対策会議を開いた。

同外相は会議の冒頭、李在明大統領が「米国に投資する韓国企業の経済活動が、米国の法執行過程で不当に侵害されてはならないと強調した」と述べ、「現地に高官を速やかに派遣することを検討し、必要であれば自らワシントンに行って米政府と協議する」と語った。

韓国外務省の報道資料によれば、同省の朴潤柱第一次官が6日、アリソン・フッカー米国務次官(政治担当)と電話会談し、この件について「遺憾」を表明。特に、韓国人労働者が逮捕される写真が公開されたことを問題視したという。朴次官はさらに、米国側に事態の解決を求めた。

米国務省はコメント要請に対し、国土安全保障省に問い合わせるよう求めた。国土安全保障省の回答は得られていない。

今回の一斉摘発は、雇用慣行に関する数カ月に及ぶ捜査の一環で、一つの拠点を対象とした国土安全保障省の捜査部門による法執行オペレーションとしては過去最大。米国史上最大の強制送還作戦を掲げるトランプ政権の広範な取り組みの一環でもある。

5日に公開された捜索令状によると、捜査官は雇用記録や移民関連文書、政府機関との通信記録、事業に関与する請負業者・下請け業者の記録を押収する権限を与えられた。

捜索対象には4人が名指しされた。不法就労と認定された労働者は移民・税関捜査局(ICE)に引き渡され、退去強制手続きに付されたと、捜査を統括するスティーブ・シュランク特別捜査官が述べた。

ジョージア州エラベルにある現代自動車の製造施設

韓国は近年、米国への主要投資国として台頭している。最近の米韓貿易合意で、韓国は米国への3500億ドルの投資を約束し、このうち1500億ドルは米国の造船業再建のための基金に充てられる。

李在明大統領とトランプ大統領が8月25日にワシントンで初の首脳会談を行った数時間後、現代自動車は2028年にかけて行う米国への投資額を260億ドルに引き上げると発表した。

一斉摘発の舞台となったHL-GAバッテリーは、現代自動車とLGエナジーソリューションの合弁事業で、現代自動車が新設するEV生産拠点にバッテリーを供給する予定となっている。ジョージア州のケンプ知事が推進する経済開発戦略の柱の一つでもある。

原題:South Korea’s Top Diplomat May Go to US After Citizens Held (3)(抜粋)

--取材協力:Vincent Lee.

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