(ブルームバーグ):中国共産党の習近平総書記(国家主席)は3日、ロシアのプーチン大統領および北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記と共に10年に一度の軍事パレード式典に出席した。新兵器を披露するとともに、中国の外交的影響力を示す場となった。
今回の式典は抗日戦争の勝利から80年を記念するもので、中国とロシア、北朝鮮の3首脳が公の場でそろって姿を見せるのは初めて。米国主導の国際秩序に対抗する姿勢を、より明確に示すものと受け止められている。

習氏は天安門楼上で、プーチン、金両氏と共に、中国人民解放軍による礼砲と国旗掲揚を見守った。
習氏は演説冒頭で、抗日戦争を戦った退役軍人らをたたえた上で、「中国人民は巨大な国家的犠牲を払い、人類文明の救済と世界平和の擁護に大きく貢献した」と述べた。
その上で「中国の国家は、権力や威嚇を恐れず、自立自強の決意を持つ偉大な国だ」とし、「世界クラスの軍隊」構築を加速させ、主権と領土の一体性を「断固として守る」と強調した。これは台湾を念頭に置いた発言で、台湾独立に対する警告だ。
習氏が天津で議長を務めた上海協力機構(SCO)首脳会議に出席した首脳らを含め、ベトナムやマレーシア、パキスタン、ベラルーシ、イラン、セルビア、スロバキアなどの要人も式典に参加した。
今回の軍事パレードは、中国共産党が進める愛国主義を高める取り組みの一環。景気低迷や米国との緊張が続く中で、党は戦時中の苦難の記憶を呼び起こすことで、国内の支持を固めようとしている。また、台湾が中国の一部であるとの主張を強調し、立場を強化する狙いもある。
習氏は演説後、中国製セダン「紅旗」に乗り、軍事パレードを開始した。
最新兵器
中国はパレードで、最新の対艦ミサイルや戦闘用無人機、核搭載可能な弾道ミサイルを披露した。
国営新華社通信によると、公開された兵器には新型の主力戦車「Type-100」、極超音速対艦ミサイル「鷹撃19」や「鷹撃20」などの一連の兵器、そして長距離ロケット砲「191」システムが含まれる。
さらに、4足歩行の「戦闘犬」ロボットやステルス性能を備えた戦闘用ドローンなど、次世代の戦争を見据えた無人システムも披露された。
軍事・安全保障を専門とするシンクタンク、オープン・ニュークリア・ネットワークのシニアアナリスト、ティエンラン・シュ氏によれば、これらの新型兵器には極超音速技術など最先端のシステムが採用されており、西太平洋に展開する米海軍の抑止を念頭に開発されたという。
しかし、長安街で繰り広げられたこの壮観なショーにもかかわらず、兵器を製造する中国企業の株価に即座の恩恵は見られなかった。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のストラテジスト、マービン・チェン氏によれば、イベント到来で投資家の利益確定売りが広がり、中国の防衛関連株は下落した。
皮肉
トランプ米大統領は習氏が軍事パレードに各国首脳を招いたことを踏まえ、習氏を非難した。トランプ氏は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に、「プーチン氏と金氏によろしくお伝えください。あなた方は米国に対して共謀しているようですので」と投稿。詳細には触れなかった。
トランプ氏はまた、習氏が軍事パレード前に行う演説で、第2次世界大戦中に中国へ「膨大な支援」を行った米国に謝意を示すかどうかに疑問を呈した。さらに「中国が勝利と栄光を追い求める中で、多くの米国人が命を落とした」と強調した。
習氏は3日、実際の演説で米国に直接言及しなかったが、中国を支援した国々への感謝を表明した。中国外務省はコメント要請にすぐには応じなかった。

原題:Xi, Putin and Kim Appear Together at China’s Military Parade (1)、Xi Vows to Defy ‘Intimidation’ at Parade of Firepower and Clout、Trump Accuses Xi of ‘Conspiring Against US’ With Putin, Kim(抜粋)
(習氏の発言などを追加して更新します)
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