オーストラリアのアルバニージー首相は、週末に主要都市で行われた反移民デモについて、規模の小ささを強調する一方、ネオナチによる一部の集会での発言に警戒を呼びかけた。

複数の都市や地方の中心部で行われた反移民デモには対抗デモも発生し、メルボルンやシドニーで最大規模となった。一部の集会ではネオナチ団体「ナショナル・ソーシャリスト・ネットワーク(NSN)」のメンバーが演説し、白豪主義(白人を優遇したオーストラリアの旧移民政策)を称賛した。

メルボルンで衝突する反移民デモと対抗デモの参加者(8月31日)

アルバニージー首相は1日、豪公共放送ABCのインタビューで「人口が約2700万人の国全体から見れば、デモ参加者は大した人数ではなかった」とし、「反移民を旗印に掲げる人々は常に存在してきた」と語った。

さらに「ネオナチに発言の場が与えられた」とし、「多くの集会での雰囲気は控えめに言っても残念なものであり、極端なケースでは憎悪に満ちたものもあった」と非難。「ネオナチが公然とビクトリア州議会の階段から演説できる」のは容認できるものではないと強調した。

オーストラリアでは、1973年まで白豪主義が採用され、現在でも人種差別が根強く残っている。特に経済の不安定期には反移民感情が高まりやすく、現在の住宅不足により家賃や不動産価格が急騰する中、急激な人口増加への不安が広がっている。

現在、オーストラリア人の約3人に1人は海外生まれで、出身国は英国、インド、中国、ニュージーランドが上位を占める。また、人口のほぼ半数は少なくとも片方の親が海外出身だ。

アルバニージー首相は「オーストラリアは多文化主義によって恩恵を受けてきた近代国家だ。異なる民族や宗教、背景を持つ人々の大半は調和して暮らしている。この国の多様性は豊かさにつながっている」と述べている。

原題:Australia’s PM Urges Vigilance, Plays Down Anti-Migrant Protests(抜粋)

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