(ブルームバーグ):自動車レースのフォーミュラ1(F1)で今季圧倒的な強さを見せるマクラーレン・レーシングの企業評価額は、株式取引を通じて30億ポンド(約5980億円)に達する見通しだ。事情に詳しい関係者2人が明らかにした。F1に対する投資家の強気姿勢を改めて示す動きとなる。
匿名の同関係者によれば、マクラーレン・グループの株主であるバーレーンの政府系ファンド(SWF)マムタラカトと、アブダビ拠点の投資会社CYVNホールディングスが、レーシングチームの完全所有権を得ることになる。

マムタラカトとCYVNは、2020年にマクラーレンに出資したMSPスポーツ・キャピタルや他の少数株主が持つ30%の株式を買い取る。当時の評価額は5億6000万ポンドだった。ブルームバーグの報道によれば、米ウォルマート創業家のロブ・ウォルトン氏もこの出資に参加していた。
マクラーレン・レーシングとMSPはコメントを控えた。この株式取引は英スカイニューズが先に報じていた。
F1チームには高額な評価が相次いでいる。ファンや投資家の関心が一段と高まる中、アストンマーティンのチームも株式売却交渉を進めており、評価額は約24億ポンドに達する見込みだ。
自動車レースの最高峰F1は、米リバティ・メディアの下で急成長を遂げている。ネットフリックスのドキュメンタリー番組「Formula 1:栄光のグランプリ」の成功も追い風となり、特に米国で新たなファン層を獲得。最近公開されたブラッド・ピット主演の映画「F1/エフワン」も、人気拡大に拍車をかけている。
マクラーレン・レーシングは昨年、ザク・ブラウン最高経営責任者(CEO)の指揮下で26年ぶりにF1王座を手にした。
F1チームが好調を維持する一方で、グループ傘下の高級車メーカー、マクラーレン・オートモーティブには課題が山積する。CYVNは、資金難にあえぐ同社の黒字転換を目指している。
原題:McLaren F1 Team Valued at More Than £3 Billion in Stake Sale (1)(抜粋)
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