(ブルームバーグ):タイ銀行(中央銀行)のピティ副総裁は20日、追加利下げを正当化するには、経済成長見通しが大幅に悪化するか、予想外の衝撃に直面する必要があるとの認識を示した。同中銀は今年すでに利下げを3回行っている。
ピティ氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、タイ中銀の金融政策は依然として緩和的で、米国の関税措置が今年後半から成長に与える影響も考慮に入れていると語った。
7人から成る金融政策委員会(MPC)の一員でもある同氏は、先週の0.25ポイントの利下げには、タイトな金融環境に加え、米国との関税交渉が決着し先行きが明確化したことも織り込まれていたと説明した。
MPCは先週、政策金利を1.5%に引き下げることを全会一致で決定。米国の関税で打撃を受ける輸出依存企業の負担軽減を狙った。昨年10月以降の利下げ幅は計100ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)となった。ただ、景気の弱さや消費者物価の下落を踏まえ、多くのアナリストは緩和がさらに続くとみている。
ピティ氏は「成長見通しが大幅に下方修正されるか、現在の予測には織り込まれていない予想外の衝撃が起きない限り」、今のところ追加利下げはないだろうと述べた上で「現時点では経済の推移はほぼわれわれの想定通りだ」と明らかにした。
同氏によれば、追加緩和の余地は大きくない。タイ中銀の政策金利が過去25年間で1.5%を下回ったのは3回しかなく、そのうち2回は世界金融危機時だったという。
ピティ氏は「1.5%はタイにとって歴史的にかなり低い水準だ。さらに非常に重要なのは、ここ数年の景気減速や低成長の主因は構造的要因にあるという点だ」と述べた。
「金融政策にできることには限界がある。MPCとしては、金融政策が成長の制約にならないようにしたいと考えている」とも語った。
原題:Thai Central Bank Says More Easing Only If Growth Outlook Dims(抜粋)
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