(ブルームバーグ):海外投資家は7月に日本の超長期国債を7カ月連続で買い越し、年初からの買越額は過去最大となった。生命保険会社など国内投資家の需給に不安を抱える超長期債相場を海外勢が下支えする構図が続いている。
日本証券業協会が20日に公表した7月の投資家別の公社債店頭売買高統計によると、海外投資家は超長期債を4795億円買い越した。1月からの連続買い越しで、2021年11月から22年5月に記録した7カ月連続に並び、買越額の合計は9兆2841億円と1-7月としてはデータがさかのぼれる04年以降で最大となった。
アクサ・インベストメント・マネージャーズの木村龍太郎シニア債券ストラテジストは、現在の国内債券市場で主要な投資家は海外投資家であり、同主体の買いが続いていることは「一定の安心材料になる」と指摘。ただ、「日本債券がアンダーウエートとなっている分を埋める動き」であり、「金利を押し下げる買いは期待できない」とも話した。

国内では超長期債の主要な買い手である生保が慎重姿勢を崩しておらず、日本銀行も国債買い入れを段階的に縮小するなど、買い手不足が深刻化している。7月は20日に参議院選挙を控えて財政拡大への懸念が強まり、金利が上昇。新発20年債利回りは約26年ぶりの高水準を付け、新発30年債利回りは過去最高を更新した。
世界的にも政府支出拡大やトランプ関税によるインフレリスクに対する警戒から超長期金利が上昇基調にある。米国の30年債利回りは7月に5%台に乗せる場面があり、ドイツの30年債利回りは今月、11年以来の高水準を付けた。
海外勢による日本の超長期債買い越しは4月に約2兆2900億円に達し、3カ月連続で過去最大を更新した。その後はペースが鈍化し、7月の買越額は前月の3分の1にとどまった。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大塚崇広シニア債券ストラテジストは「参院選で石破茂首相の退陣が意識され、ポジションを落とす動きが強まった」と分析。もっとも、為替ヘッジによる上乗せ利回りなどを含めると日本の超長期債利回りは「他の主要国と比べて相対的に高く、海外勢は引き続き主要な買い手になっている」と話した。
一方、海外投資家は7月に国内債全体では24年4月以来の売り越しに転じた。日米関税交渉が妥結し、日銀が早期に利上げするとの観測が高まる中、長期債の売越額は1兆4000億円と2年半ぶりの大きさとなった。
ソシエテ・ジェネラルのアナリストはリポートで、過去1年間で8兆円買い越した後のポジション解消を反映していると推測。海外投資家は「2-5年と20-40年のセクターでは依然として買い手ではあるものの、後者についてはこれまでと比べてペースが鈍化している」と指摘した。
20日の債券市場では主要な買い手が不在の中、新発10年国債利回りは一時1.605%と7月25日に付けた08年以来の高水準に並んだ。19日の20年債入札が弱い結果となり、超長期債利回りの上昇も継続。20年債は一時2.635%、30年債は3.19%と共に7月の高水準に接近した。
(文末に20日の債券市場の動きを追記)
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