(ブルームバーグ):中国不動産危機の象徴となっている不動産開発会社、中国恒大集団の清算人が、不動産管理を手掛ける子会社の売却に向け複数の銀行を選任した。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
非公開情報だとして匿名を条件に語った関係者によると、UBSグループおよび中信証券と連携し、子会社である恒大物業集団の買い手候補を模索している。また協議は初期段階で変更の可能性があるという。
恒大は問い合わせに応じず、UBSと中信はコメントを控えた。清算人は現時点で回答していない。
2021年にデフォルト(債務不履行)に陥った恒大は今月12日、香港取引所の委員会が上場廃止を決定したと発表した。上場廃止日は今月25日だとしている。
恒大物業の株価は一時18.8%高と24年10月以来の高値を付けた。その後は上げ幅を縮小している。
恒大物業は、債権者への返済原資となる資産の回収において中核的な役割を担っている。時価総額は90億香港ドル(約1700億円)、24年の売上高は128億元(約2630億円)に上るため、清算人は同社を「非常に大きな潜在的価値の源泉」として「最優先事項」に位置付けている。
同社の年次報告によると、24年の純利益は10億元。運営中のプロジェクトは3000件に達していた。
しかし、売却にはハードルがある。株価は21年のピークから約96%下落。ここ数年はペニー株(超低位株)として取引されている。親会社である恒大の清算がブランドイメージやプロジェクト運営などに悪影響を及ぼしているという。

恒大は187件の債務請求を抱えており、その総額は約450億ドルに上る。清算人のエドワード・ミドルトン氏とティファニー・ウォン氏は12日、「全体的」な再建は困難とみていると明かした。
両氏はまた、100社余りに上る恒大の関連会社から経営権を引き継いでおり、その保有資産の価値は270億香港ドルに達するという。
しかし、これまでに回収できた資産は2億5500万ドルにとどまっている。このうち約1億6700万ドルは恒大本体に移転されたが、所有構造が複雑なため、利害関係者は全額が利用可能だと考えるべきではないと清算人は述べている。

原題:Evergrande Liquidators Ask UBS to Sell $1.1 Billion Unit (1)(抜粋)
--取材協力:Emma Dong.
もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.