トランプ米大統領は11日、首都ワシントンの警察を連邦政府の直接管理下に置き、犯罪とホームレス問題への対策として州兵を展開させると述べた。

「米国の首都は今や、暴力的なギャングや血に飢えた犯罪者、野放しの若者たち、薬物依存者、そしてホームレスに占拠されている」とトランプ氏はホワイトハウスでの記者会見で述べた。「これ以上、放置はできない」と話した。

約800人の州兵は軍需の補給や輸送といった任務を支援することで、警察が逮捕に注力できるようにする役割を担うとみられている。トランプ政権は今年、移民税関捜査局(ICE)の不法移民拘束を支援する目的で、ロサンゼルスに州兵を派遣している。カリフォルニア州のニューサム知事による反対にもかかわらず、強行された州兵派遣は住民の強い反発を呼び、政府に対する抗議活動が長期化した。

米大統領には緊急時にワシントンDCの警察を一時的に掌握する権限が、法律によって与えられている。この法律は70万人のワシントンDC住人に、市長や市議会議員を選出する政治的な自治権を認めている。

動画:ホワイトハウスで記者会見するトランプ米大統領(中央)

トランプ大統領は「自宅を出て新聞などを店で買うといった日常の行動が、今は安全ではなくなった」と話した。記者会見にはボンディ司法長官とヘグセス国防長官が同席した。

ワシントンDCの犯罪率はこの2年間で低下していることが、警察のデータで明らかになっている。米司法省が1月3日に発表したデータによれば、首都の犯罪率は2024年に30年ぶりの水準に低下した。

政府効率化省(DOGE)の元スタッフは今月、カージャック未遂に巻き込まれ暴行を受けたと主張している。ホワイトハウスはこれを受けて、連邦捜査局(FBI)や麻薬取締局(DEA)など十数もの機関から法執行官を少なくとも1週間は首都に派遣すると発表していた。

ワシントンDCのバウザー市長は10日、首都を戦地と比較するのは「誇張であり、事実に反する」とニュース専門局MSNBCで発言。

「2023年に犯罪が急増したのは事実だが、今は2025年だ」とバウザー市長。「この問題に対してコミュニティーや警察、検察と連携して取り組んできた。連邦政府と協力してきたのも事実だ」と反論した。

原題:Trump Deploys National Guard to DC, Takes Control of Police (2)(抜粋)

(トランプ大統領やワシントン市長のコメント、背景情報を加えます)

--取材協力:Wendy Benjaminson.

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