(ブルームバーグ):インド準備銀行(中央銀行)は今月、ルピー安を食い止めるため、国内外の外国為替市場で米ドルを売却した。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
情報が非公開として匿名を条件に語った関係者の1人によると、インド中銀は少なくとも50億ドル(約7370億円)相当の米ドルを売却したという。インド中銀はこの件に関するコメント要請に現時点で応じていない。このままのペースが続けば、ドルの売越額は月間ベースで1月以降で最大となる可能性がある。
ルピーは先週、1ドル=87.89ルピーまで下落し、過去最安値に迫った。米ホワイトハウスは6日、トランプ大統領がインドからの輸入品に対して25%の追加関税を課す大統領令に署名したと明らかにした。これにより、対インド関税は2倍の50%となる。
ルピー安が進めば、輸入インフレを招き、すでに脆弱(ぜいじゃく)な経済回復への圧力となる恐れがある。

今回の為替介入は、昨年12月に就任したマルホトラ総裁の下で、これまで抑制的だったインド中銀のアプローチに変化が生じた可能性を示唆している。
ルピーは今年に入ってから2%余り下落しており、アジア通貨の中でパフォーマンスの悪さが目立っている。トランプ氏が関税引き上げを計画していることが明らかになった過去2週間で下げは加速した。
匿名の関係者2人によれば、インド中銀は先週、複数回にわたり、ムンバイ時間午前9時の国内通貨取引開始直前にオフショア市場で介入したという。
また、最近の外貨準備高のデータも為替介入を示唆。8月1日までの1週間で準備高は93億ドル減の6890億ドルとなった。減少額は昨年11月以降で最大となる。ただし減少には為替評価額の変動も含まれており、インド中銀によるドルの売買だけが要因とは限らない。
原題:India’s RBI Said to Have Sold at Least $5 Billion to Boost Rupee(抜粋)
--取材協力:Anup Roy.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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