(ブルームバーグ):石破茂首相は11日、熊本県で発表された大雨特別警報を受け、政府の担当者に対し、被害状況の把握や国民への情報提供などを指示したと明らかにした。報道陣の取材に答えた。
石破氏は小島裕史内閣危機管理監に対し、「被害状況を迅速に把握すること、地方自治体とも緊密に連携し、人命第一の方針の下、政府一体となって災害応急対策に全力で取り組むこと、国民の皆さまに対し、避難、大雨、土砂災害に関する情報提供を適時的確に行うこと」を指示したと述べた。
九州北部地方に停滞する前線に向かって暖かく湿った空気が流れこみ、九州地方では大気の状態が非常に不安定になった。
気象庁は11日午前、熊本県の一部自治体に対し、最も高い警戒レベルの大雨特別警報を発表した。特別警報は午後、大雨警報などに切り替えられた。熊本県は同日に副知事らが参加する災害対策本部会議を開催し、被害状況の把握などに努めている。
熊本県がまとめた被害状況によると、午後3時現在、甲佐町で男性1人が土砂崩れに巻き込まれ、心肺停止状態となった。川に流されたとする安否不明情報も複数ある。
また、県内の複数の自治体が避難を呼びかけ、33市町村で1481人が避難した。天草市や甲佐町などでは土砂崩れなどで道がふさがれ、一部住民が孤立している。停電や断水、家屋の浸水も各地で発生した。
九州旅客鉄道(JR九州)によると、九州新幹線は11日、始発から一時、全線で運行を取りやめた。
半導体受託生産最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は熊本県菊陽町に工場を設けている。TSMCの広報担当者は大雨による熊本県の工場の「操業への影響は、現在のところない」とした上で、今後も状況を注視し、職員の安全を確保するために対策を講じるなどとメールでコメントした。
(詳細を追加して更新しました。更新前の記事は最終段落の町名を菊陽町に訂正済みです)
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