ニューヨークで希望する時間と場所に見合った飲食店を見つけるのは、決して簡単ではない。人気のレストランはいつも満席で、トップクラスの店に至っては予約すら困難だ。すぐに入れる店は、料理がおいしいとは限らない。

そこで、ニューヨーク市内および周辺地域のお薦めレストラン5軒を紹介する。選定に当たっては、「最近オープンした話題の店」「記念日や取引成功のお祝いに適する店」「今夜予約が可能か」「手頃な価格でおいしい料理を楽しめるか」といった、われわれがいつも聞かれる質問を念頭に置いた。

【新顔】ル・シェーヌ(Le Chêne)/ ウェストビレッジ

米誌バニティー・フェアの元編集長、グレイドン・カーター氏が華やかなりし1990年代を振り返った回想録「When the Going Was Good」の世界に浸りたいなら、ル・シェーヌの予約をお勧めする。

客層はウェストビレッジらしく、洗練された髪型が目に留まる人たちの隣のテーブルでパーソナルトレーナーらが食事している。コンパクトなクリーム色の店内には、騒がしくも陽気なムードが漂い、夜が更けるとホール&オーツのヒット曲に合わせて席で踊る客も見かける。

シェフのアレクシア・デュシェーヌ氏が手がけるフレンチは、クラシックでありながら遊び心がある。シュリンプタルト(12ドル)にはクレームフレーシュのほか、メープルシロップとシソの葉が添えられ、スイートコーンを揚げたベニエ(18ドル)は素朴な見た目だ。

看板メニューはSNSで話題のパイ料理「テール・エ・メール」(79ドル)。大地と海という意味だが、膨らんだ黄金色のパイの中身は、ジューシーなポークソーセージ、ポテトグラタン、スモークうなぎ、キャベツが層になっている。一皿で2人分あり、パーティー気分が味わえる。

パイ生地でお腹がいっぱいになっていなければ、バニラとキャラメルのミルフィーユにチョコレートソースがたっぷりかかったデザート(22ドル)もある。

ワインリストは40ページにわたり、シャンパンやビンテージワインが充実。100ドル未満より1000ドル超の銘柄の方が多いので、財布を膨らませての来店をお忘れなく。

住所:76 Carmine St.

ウェブサイト:lechenenyc.com

【ビジネス向け】マンハッタ(Manhatta)/ 金融街

エレベーターに乗って60階へ上がると、マンハッタの静かで洗練された空間が現れる。アリアンツやアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)、ロンドン証券取引所グループ(LSEG)といった企業が入居するビル内にあり、そこで働く人々も足しげく通う。

新たに就任したエグゼクティブシェフ、ミケーレ・ブロジオーニ氏が生み出す料理は、ハマチに旬のラディッシュとトウモロコシを合わせた一皿や、ペコリーノチーズのトルテリーニなど。ランチタイムの人気メニュー、玉ねぎこうじ入りの熟成肉バーガーもある。

ユニオン・スクエア・ホスピタリティー・グループが運営するマンハッタは、ビジネスミーティングの場としてはもちろん、仕事終わりの一杯に最適。特別な日の会食や観光客を連れて行くにも重宝する。ランドマーク的な高層ビルから望むニューヨークのパノラマは、一見の価値ありだ。

住所:28 Liberty St. 60th Floor

ウェブサイト:manhattarestaurant.com

【予約不要】ロカンダ・ヴェルデ(Locanda Verde)/ ハドソンヤード

シェフのアンドリュー・カルメリーニ氏と同氏率いるノーホー・ホスピタリティー・グループは、人気店を次々と手がけてきた。トライベッカにあるロカンダ・ヴェルデ本店は常に満席だ。

だが、ブラックロック本社ビル内にある店舗なら、飛び込みでも席を確保できる可能性がある。テーブル席、バー席、テラス席から好みの席を選べることもある。

木目調のパネルとシャンデリアで装飾されたこのレストランでは、アンチョビのクルトン入りグリーンシーザーサラダ(22ドル)、溶かしバター和えのカニ肉が入ったパスタ料理の黒いキタッラ(38ドル)、ホタテの「アラビアータ」(51ドル)などが楽しめる。

かつての高架線路を活用した観光名所ハイラインを週末に散歩するなら、ブランチに立ち寄るのもいい。フレッシュジュースとレモンリコッタパンケーキ(24ドル)からガーリックチキンのロースト(39ドル)、ティラミス・ボンボローニ(9ドル)まで幅広いメニューがそろっている。

住所:50 Hudson Yards

ウェブサイト:locandaverdenyc.com/location/hudson-yards

【安くて美味】ポチャ32(Pocha 32)/ コリアンタウン

インスタグラム:ポチャ32

32丁目に面したポチャ32の入り口には旗が掲げられている。階段を上がった2階にあるのは、イルミネーションがまたたく陽気な韓国風パブ。スイカをくり抜いた器に入った焼酎カクテルが名物だ。

11年前にコリアンタウンにオープンしたこの店は、周囲のレストランが高級志向に変わっていく中でも、良心的な価格設定を守り続けている。メニューにはキムチチゲ(ツナまたは豚肉入り、19ドル)や牛肉のビビンバ(18ドル、豆腐ビビンバは17ドル)など、宅配にも適した料理が並ぶ。

さらにうれしいことに、ポチャ32は深夜0時以降も営業している。

住所:15 West 32nd St., 2nd Floor

ウェブサイト:pocha32.com/home

【DINE指数のお薦め】ロス・タコス・ナンバーワン(Los Tacos No. 1)/ ミッドタウンイースト

グランド・セントラル駅を利用する通勤客に便利な場所にあるこの店は、ニューヨークでも屈指のタコス店として知られ、ブルームバーグ端末ユーザーの間でファンが多い。

ステーキ肉のタコスやトスターダは5.95ドル、ケサディーヤは7.25ドルで提供されている。朝食用ブリトーは1人15個までで、チョリソーと卵とチーズ入りなど、何種類か選べる。

ブルームバーグのレストラン検索機能DINEのあるユーザーは、「その日の気分がすっかり変わるくらいうまい」と述べ、「キッチンで巨大な肉の塊がぐるぐる回り、おいしそうな匂いを漂わせている」点にも言及。

さらに、「ケサディーヤよりタコスを3、4個頼む方がコスパがいい。具材を聞かれたら、『全部』と答えよう。ちなみに立ち食いスタイルで、トイレはないので注意が必要だ」とアドバイスした。

住所:125 Park Ave.

ウェブサイト:lostacos1.com

原題:Five Top Tables: The New York City Restaurants to Eat at Now(抜粋)

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