トランプ米政権は金地金(インゴット)の輸入に関税を課さないことを明確にするため、新たな指針を出す意向を示唆した。当局が金地金を関税の対象とする判断を下した衝撃に、市場は動揺し、混乱が広がっていた。

金地金などへの課税については誤情報があったと、ある当局者は認めており、ホワイトハウスはこれを正すための大統領令を近く発出する意向だ。同当局者は8日、匿名を条件に計画の詳細を明らかにした。

ニューヨーク市場の金先物相場はこれを受けて上げ幅を縮小。世界的な指標であるロンドンの金スポット相場は下落した。両社のスプレッドは金関税賦課のショックで一時1オンス当たり100ドルを上回ったが、ホワイトハウスからの情報に反応して縮小し、60ドルを割り込んだ。

NY金先物とロンドンスポット価格のスプレッド推移

業界関係者はこれまで、金地金がトランプ大統領の「相互関税」の適用を除外されると理解していた。しかし米税関・国境取締局(CBP)は重量サイズ1キログラムと100オンスの金地金は関税の適用対象に含まれると明示した。

ホワイトハウスからの情報に反応し、金関連の株価も直ちに下落。ニューモントやアグニコ・イーグル・マインズなど金鉱山大手は、上げ幅を消した。採掘権を手がけるフランコ・ネバダや、バンエック金鉱株上場投資信託(ETF)にも売りが出た。

金は金融資産であり、また世界的な通貨として特異な役割を持っており、トランプ関税で打撃を受けている銅や鉄鋼、アルミニウムとは一線を画す。朝方の市場では、米関税の対象に入るとの衝撃で金の出荷が事実上凍結されたとトレーダーらは話していた。

原題:White House to Clarify Gold Tariffs After Ruling Sparked Chaos(抜粋)

(金市場を更新し、チャートと背景情報をクウェマス)

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