ウォラー米連邦準備制度理事会(FRB)理事が、トランプ大統領側近らの間で次期FRB議長の最有力候補に浮上している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

関係者によれば、側近らはウォラー理事について、足元のデータではなく予測に基づいて政策判断を下そうとする姿勢や、FRB制度全体に関して深い知識を有していることを評価している。

ウォラー氏はトランプ大統領のチームと会ったが、トランプ氏自身にはまだ面会していないという。関係者が非公開の協議について話しているとして匿名を条件に語った。

ウォラーFRB理事

同関係者らによれば、ケビン・ウォーシュ元FRB理事とハセット国家経済会議(NEC)委員長も依然として、パウエルFRB議長の後任候補として検討対象に入っている。パウエル氏の議長としての任期は2026年5月に終了する。

ホワイトハウスのデサイ報道官は発表文で、「トランプ大統領は引き続き、最も有能で経験豊富な人物の指名に取り組んでいく」と説明。「ただし、人事に関するいかなる議論も、トランプ大統領自身が発表したものでない限り、単なる臆測に過ぎないとみるべきだ」と指摘した。

FRBの担当者はコメントを控えた。

ホワイトハウスのミラン大統領経済諮問委員会(CEA)委員長は7日、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「ウォラー理事は過去2年間、インフレに関する予測や、それに対応するために連邦準備制度の政策がどの方向へ進むべきかの予測で、非常に優れた実績を築いてきた」と語った。

なお、ミラン氏についてはその後、8日付けで退任するクーグラーFRB理事の後任として、来年1月末までの任期で指名する意向をトランプ氏が自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で表明した。

トランプ氏は6日、FRB議長の候補者リストを3人に絞り込んだと発言。ベッセント財務長官やバンス副大統領、ラトニック商務長官が選考委員会メンバーを務めていることをトランプ氏は明らかにした。

利下げ支持

ブルームバーグ・ニュースは先に、ハセット氏がFRB議長ポストについてトランプ氏と話し合い、大統領本人とそのチームの双方に強い印象を与えたと報じていた。一方、ウォーシュ氏は17年にも同ポストを巡って面接を受けたが、最終的にはパウエル氏が選ばれた。また昨年11月には、財務長官候補としても検討されていた。

7月29、30両日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)会合では、いずれもトランプ政権1期目に理事に指名されたウォラー氏とボウマン副議長(銀行監督担当)が0.25ポイント利下げを支持して政策金利据え置き決定に反対票を投じた。

それからまもなく、8月1日に発表された7月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数の増加幅が事前予想を下回り、5,6両月の雇用者数の伸びも大幅に下方修正されたことで、労働市場の軟化を理由に利下げを支持したウォラー、ボウマン両氏の主張を裏付ける形となった。

トランプ氏は、今年に入り金利据え置きを続けているパウエル議長率いる金融当局を重ねて批判。こうした不満の表明を受け、次期FRB議長に指名される人物が、金融政策運営の独立性を支えるのかどうか疑問が生じている。ウォラー氏は4月、連邦準備制度の独立性は「米経済の健全な機能に極めて重要だ」と述べている。

一方、ウォラー氏は先月のブルームバーグテレビジョンのインタビューで、FRB議長ポストについて大統領から直接の連絡はまだ受けていないと語った。「大統領が私に連絡をしてきて、『就任してほしい』と言われたら、引き受けるつもりだ。だが、連絡はない」と話していた。

原題:Waller Emerges as Favorite for Fed Chair Among Trump Team (3)(抜粋)

(ウォラー氏の過去の発言などを追加して更新します)

--取材協力:Annmarie Hordern、Christopher Condon、Hadriana Lowenkron.

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