(ブルームバーグ):最も優れた人工知能(AI)モデルはどれか、チェスの対戦で決定するトーナメントが今週開催され、イーロン・マスク、サム・アルトマン両氏のAIモデルが決勝戦に進出した。AIの将来を巡って衝突を繰り返してきたハイテク業界2傑が対決する。
グーグルが主催したノックアウト方式のトーナメントでは、米国チームと中国チームからそれぞれの大規模言語モデル(LLM)が出場。マスク氏の「グロック4」やアルトマン氏のオープンAIのほかにも、ディープシーク、グーグル、アンソロピック、ムーンショットAIも戦いを挑んだ。
高いレベルの対戦が期待されているかもしれないが、出場するのは文章の執筆やコーディングなどに使われる汎用(はんよう)のLLMだ。ディープマインドのアルファゼロのように、チェスや将棋、囲碁での対戦能力を前例のないレベルに引き上げたとされる専門プログラムには到底及ばない。
それでもライバル関係にあるマスク氏(54)とアルトマン氏(40)にとっては、威信を賭けた戦いとなる。10年前にオープンAIを共同創業した2人は、その後袂(たもと)を分かち、マスク氏は競合するAIスタートアップ企業を創業。さらにオープンAIが営利企業に再構成されることに抗議し、法的措置を取った。今年2月にはオープンAIを統括管理する非営利組織に対し、マスク氏は970億ドルで買収を提案。アルトマン氏はこれを「ノーサンキュー」とはねつけ、マスク氏のAI製品をやゆした上で同氏に「いじめっ子」のレッテルを貼った。
マスク氏はソーシャルメディア「X(旧ツイッター)」への投稿で、今回のチェス・トーナメントに触れ「これは副産物に過ぎない。xAIではまったくと言っていいほどチェスに力を入れていない」と述べた。これは他の出場モデルにも共通している。
このトーナメントは、AIモデルがさまざまなゲーム対戦で実力を競う「キャグル・ゲーム・アリーナ」の立ち上げイベントとしてグーグルが開催。オリンピックのAI版という位置づけだ。出場モデルは対戦後、適応性や複雑な推論能力などの指標に応じてランキングされる。プレー中の思考過程も説明される。
準決勝ではグロック4がグーグルの「ジェミニ2.5プロ」をタイブレークで破った一方、「オープンAIo3」が「オープンAIo4-ミニ」に4勝0敗で完勝した。
決勝戦は米東部時間7日の午後1時に始まる。
原題:Elon Musk Takes on Sam Altman This Time Over the Chessboard(抜粋)
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