アマゾン・ドット・コムは自社のクラウドサービスでオープンAIの最新人工知能(AI)モデルを顧客に提供する計画だ。オープンAIのモデルを自社サービスに採用するのは初めてとなる。

このAIモデルは、アマゾンのクラウド基盤である「Bedrock(ベッドロック)」および「SageMaker(セージメーカー)」上で提供される。アマゾンは、高度な推論機能を備えた同モデルはAIエージェントとしての活用に適しているとしている。

アマゾン・ベッドロックのゼネラルマネジャー、アトゥル・デオ氏はインタビューで、このモデル提供によって、自社のニーズに最も適したツールを見極めたいという顧客の要望にアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)は応えられるだろうと述べ、「顧客に選択肢と柔軟性を提供したい」と語った。AWSはアマゾンのクラウド部門。

オープンAIは5日に新モデルを発表。コードの生成やウェブ検索など複雑なタスクをユーザーに代わって実行できると説明した。これらのモデルは開発者がカスタマイズしやすい設計となっている。

これまで、オープンAIのAIモデルを再販できるクラウド事業者はマイクロソフトだけだった。この独占的な関係を背景に、マイクロソフトのクラウド部門「Azure(アジュール)」はAWSを上回る成長を遂げてきた。

アマゾンのアンディ・ジャシーCEO

AI分野でアマゾンがライバルに後れを取っているとの懸念がくすぶる中、同社のアンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)はAWSについて、幅広いAIツールを販売するスーパーマーケットと位置づけてきた。同社のベッドロックは、他社の大規模言語モデル(LLM)や自社開発のモデルを簡単に利用できるよう設計されている。

アマゾンはAIスタートアップのアンソロピックとも提携しており、これまでに80億ドル(約1兆1800億円)を投資してきた。AWSはアンソロピックのAIモデル「Claude(クロード)」を提供している。

5日の米株式市場でアマゾンは1%高で通常取引を終了。年初からは2.6%下げている。

同社は先週、市場予想よりも軟調な7-9月(第3四半期)の営業利益見通しを示した。投資家はAI分野への巨額投資の成果を注視している。

原題:Amazon Will Offer OpenAI Models to Customers for First Time (1)(抜粋)

--取材協力:Matt Day.

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