(ブルームバーグ):米アマゾン・ドット・コムが公表した7-9月(第3四半期)の営業利益見通しは、市場の期待より軟調となった。またクラウド事業でも売上高の伸びが競合他社に見劣りした。人工知能(AI)への巨額投資が成果を上げている兆しを投資家は見いだせずにいる。
7月31日の発表資料によると、7-9月期の営業利益は155億ドル-205億ドル(約2兆3400億-約3兆900億円)の見通し。市場予想は194億ドルだった。売上高の見通しは1740億-1795億ドル。アナリスト予想平均は1732億ドル。
アンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)はデータセンターへの巨額投資が必要なAIインフラで、マイクロソフトやアルファベットと競争を繰り広げている。両社が先に発表した決算は堅調で、AIブームの恩恵を受けていることが示された。
アマゾンでは4-6月(第2四半期)の設備投資が314億ドルと過去最高を記録し、前年同期比で約90%増えた。ブライアン・オルサフスキー最高財務責任者(CFO)は、この支出額は下期計画の「おおよその目安」になるだろうと述べた。

4-6月期の売上高は13%増の1677億ドルとなり、市場予想を大きく上回った。ただクラウドサービス部門アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)の売上高は約17%増の309億ドルで、市場予想平均の308億ドルをわずかに上回る程度にとどまった。
DAデビッドソンのアナリスト、ギル・ルリア氏は、マイクロソフトやグーグルがより高い増収率を記録したことを踏まえると、AWSの売り上げの伸びに「かなり失望した」と述べた。マイクロソフトの「Azure(アジュール)」売上高は39%増だった。
ジャシー氏は電話会見で、AWSはAI分野の「初期段階」にあり、AIアプリケーションの運用コスト低減に向けた取り組みがいずれ、より多くの顧客を呼び込むとの見方を示した。また、顧客のニーズ対応に十分な能力構築には時間がかかるとの考えをあらためて表明。クラウドサービスを拡大する上で最大の制約は、データセンター稼働向けの十分な電力確保だとも指摘した。
決算発表を受け、アマゾンの株価は引け後の時間外取引で下落していたが、ジャシー氏の発言を受け、下げが加速。一時約7.3%安となった。
4-6月期の営業利益は192億ドルとなり、市場予想170億ドルを上回った。営業費用は11%増の1485億ドルとなった。
原題:Amazon Falls After Profit Guidance, Cloud Growth Spook Investors(抜粋)
(CEO発言や最新の株価などを追加して更新します。更新前の記事でアルファベットの決算発表時期を訂正済みです)
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