サマーズ元米財務長官は、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が2026年5月に議長としての任期を満了した後、理事職も辞任するかどうかについて沈黙を貫いている姿勢を支持した。この問題を巡り、現職の財務長官の見解には同調しない姿勢を示した。

サマーズ氏はブルームバーグテレビジョンに出演し、「パウエル氏がその問題に対してあらかじめ判断を下す理由は全くないと思う」と述べた。「それは同氏の生活や次期FRB議長の人選、FRBの今後の運営方針次第だろう」と続けた。

ベッセント財務長官は31日、「議長が理事としてとどまることは非常に珍しい」との見解を改めて表明した。パウエル氏はトランプ大統領から利下げを実施しないことを繰り返し批判されているが、理事としての任期は2028年1月まで残っており、5月以降もFRBにとどまることは制度上可能だ。その場合、トランプ大統領が来年指名できる理事のポストは1つに限られる。

パウエル氏は自身の去就について繰り返し言及を避けている。連邦公開市場委員会(FOMC)は30日の定例会合で再び金利据え置きを決定。その後の記者会見でも「現時点では何も新しい情報はない」と述べるにとどめた。

サマーズ氏は「複雑な交渉や駆け引きに関わった人物が、毎日批判している人に対し事前に約束して柔軟性を放棄する理由が理解できない」と語った。

ベッセント氏は今月、パウエル氏がFRBを去るかどうかまだ聞いていないが、「そうすると私は考えている」と発言している。

ハーバード大学教授で、ブルームバーグテレビジョンへの寄稿者であるサマーズ氏は、「パウエル議長がどうするかは知らない。現時点では、パウエル議長自身もまだ決めかねているのではないか」と話した。

サマーズ氏はまた、トランプ大統領の関税引き上げによるインフレリスクを踏まえ、利下げを巡る当局の様子見姿勢を支持した。パウエル氏は30日、関税と物価上昇圧力について「解決すべき不確実性は非常に多い」とし、「そのプロセスの終わりが間近に迫っているという感触はない」と述べた。

サマーズ氏は、柔軟性を維持することは「議長にとって適切な判断だった」と指摘。「景気が下降した場合、金利を非常に迅速に引き下げる余地がある。しかし、インフレが問題となった場合、信頼性喪失のリスクがある」と語った。

同氏は、FOMCが昨年9月に景気懸念から金利を大幅に引き下げた後、10年債利回りが数週間で0.75ポイント余り上昇した点に言及。現時点で過度に動くことは、景気が実際に減速した際に後から金利を引き下げるよりも「はるかに深刻で、反転が難しい誤りになり得る」と述べた。

原題:Summers Backs Powell’s Silence on Staying On at Fed Past May(抜粋)

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