31日のニューヨーク外国為替市場で円相場が一時、1ドル=150円台後半に下落した。150円台後半を付けるのは3月28日以来、約4カ月ぶり。

円は一時0.8%安の150円63銭まで下落した。日本銀行の植田和男総裁の会見で、期待されたほど利上げに積極的な姿勢が示されず、円売りが優勢となった。米国ではパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言を受けて利下げ期待が後退し、日米金利差はすぐには縮まらないとの見方が広がっている。

 

ペッパーストーングループのシニアストラテジスト、マイケル・ブラウン氏は植田総裁が特に新しいことを話さない一方、利上げに前向きなタカ派的な発言も行っていないため、近いうちに追加利上げが行われるとの期待がやや後退した可能性があるとの見方を示した。

米連邦公開市場委員会(FOMC)は前日、成長が鈍化しつつあると指摘したものの、今週発表された4-6月(第2四半期)米実質国内総生産(GDP)速報値は前期比年率3%増加と、通商政策が変動する中でも堅調な結果となった。

マニュライフ・インベストメント・マネジメントのシニアポートフォリオマネジャー、ネイサン・スフト氏は「著しい弱さが続いていたドルに買いが入り始めている。米経済指標の底堅さや関税交渉の進展、売り圧力の一巡が背景にある」と述べた。

円は31日、長期トレンドを示す200日移動平均線(149円59銭)を5カ月半ぶりに下回っていた。過去3カ月間、円は主要通貨の中で最も振るわない動きを示しており、多くのストラテジストは、さらなる下落を予想していた。一方で、資産運用業者の間ではより楽観的な見方もあり、米商品先物取引委員会(CFTC)の22日までの週のデータによると、円のネットロングポジションが増加していた。

政治的な不安定さも、市場の見通しを一層複雑にしている。与党連合が参議院で過半数を失ったことで、石破茂首相の今後に疑問符が付き、政局の先行き不透明感がある。こうした状況で政府支出の拡大懸念が高まり、円相場に下押し圧力がかかる一方で、超長期国債の利回りは上昇している。

原題:Yen Weakens to 150 Per Dollar as BOJ Plays Down Inflation Risk、Dollar Wraps Up Best Month of Trump’s Term as Economy Holds Up(抜粋)

(相場を更新し、第4-5段落にドルの情報を加えます)

--取材協力:楽山麻理子、鈴木克依、大塚美佳.

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