日本取引所グループが31日発表した7月第4週(22-25日)の投資部門別売買動向によると、個人投資家は日本株の現物を1兆2190億円売り越し、売越額は過去最大に膨らんだ。日米交渉の妥結で米国の関税政策に対する懸念が後退する中、東証株価指数(TOPIX)が最高値を更新する局面で損益を確定する売りが膨らんだ格好だ。

個人の売り越しは7週連続で、売越額は前の週の14倍弱に急拡大。東京証券取引所の株式部データサービス室によると、売越額は2013年11月の1兆1526億円を上回り、1982年7月の集計開始以降で最大となった。

7月4週のTOPIXは4%上昇。日米、米欧の通商合意などを背景に投資家心理が改善し、24日には終値ベースの史上最高値を更新した。

ニッセイ基礎研究所の森下千鶴研究員は「個人は基本的に逆張りで動く。海外勢の買いが続いていることや指数が最高値を更新する中で、利益確定売りが膨らんだ」との見方を示した。

東洋証券の大塚竜太ストラテジストは「個人は参院選を超えたら相場が下げるという思惑もあったのではないか」と話した。

海外勢は17週連続の買い越し

一方、海外投資家は現物株を17週連続で買い越し、買越額は6023億円と8週ぶりの大きさ。ニッセイ基礎研の森下氏は「米国から他国に投資を分散する動きが進む中、相対的な割安感や企業統治改革への期待から日本株への資金流入が続いている」と分析。東洋証の大塚氏は「石破茂首相が留任するとみる向きは少なく、新政権への期待も少しずつ出ているのだろう」と推察する。

今後は海外勢の買い越し基調が続くかどうかが焦点だ。松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは、日米の金融政策がネガティブではなかったとし、引き続き海外勢の資金が日本株に流れる半面、個人の売りは続く可能性が高いと予測した。ただ、秋にかけて米国で関税によるインフレ傾向が明確に見えてくれば、「海外勢の買いが収まる可能性がある」と言う。

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