(ブルームバーグ):最近の株式市場で、人工知能(AI)への積極的な投資は報われることが多い。しかし、これは米アマゾン・ドット・コムにはあまり当てはまらない。
アマゾンはAIに多額の投資を行い、効率性向上と売り上げの伸び加速につながるとアピールしているにもかかわらず、年初来の株価上昇率は約4.5%と、S&P500種株価指数の上昇率7.2%を下回っている。一方、AI覇権を目指し積極投資を進めるメタ・プラットフォームズなどの株価は、20%余り上昇している。
ジャナス・ヘンダーソンのポートフォリオマネジャー、ブライアン・レヒト氏は、アマゾン株について「AIであまり評価されていない」と指摘。「投資家はAIの活用によって本当に収益力を改善できるか見極めたいと思っているが、われわれはAI効果が四半期ごとに明確になると考えている」と述べた。
低価格で開発された中国の高度なAIモデルが普及するとの懸念から今年に入り株式相場が急落した後、AIは再びハイテク銘柄の明暗を分ける主な要因となっている。S&P500種の構成銘柄で、メタ、マイクロソフト、エヌビディアが年初来で値上がり上位となっている一方で、AIで苦戦するアップルなどの株価は下落している。
BCAリサーチの米株式チーフストラテジスト、アイリーン・タンケル氏は「小売業の利益率は低いため、アマゾンは生産性向上の手段をできる限り必要としている。倉庫内ではAIやロボット工学の活用余地が大きい」と指摘。「こうした取り組みは5年、10年のスパンで成果が現れるものだが、アマゾンはその最前線にあり、競争上の優位を得るのは間違いない」と分析した。

原題:Amazon Investors Search for Signs of AI Lift With Shares Lagging(抜粋)
--取材協力:Subrat Patnaik.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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