(ブルームバーグ):米金融業界の自主規制団体である米金融取引業規制機構(FINRA)は、物議を醸してきた規制の改正に向け最終段階に入っている。施行されれば、基準が大幅に緩和され、個人投資家が株式やオプションをより頻繁に取引できるようになる。
FINRAは、いわゆる「パターン・デイトレーディング」規則改正を検討している。この規則は、証拠金取引口座の残高が2万5000ドル(約370万円)未満の投資家に対し、5営業日で4回以上のデイトレードを行う際の借り入れを制限している。現在準備されている改正案では、この基準が2000ドルと大幅に引き下げられる。改正案は最終的にFINRA理事会で投票にかけられる予定だ。
現行ルールでは証拠金取引口座の残高が2万5000ドル未満の投資家が、株式やオプション取引のために証券会社から2000ドル超を借り入れると、FINRAはその投資家を「パターン・デイトレーダー(PDT)」とみなし、証拠金取引を制限している。改正案では、3回までとなっているデイトレードの回数制限は撤廃されるほか、各証券会社が証拠金残高要件について独自に基準を設定できるようになる。

現行規則は投資家が多額の損失を抱えたり、保有資産・現金以上に借り入れたりすることを防ぐ目的で2001年に導入された。だが、業界幹部は市場環境がその後に発展したと主張し、FINRAは現行ルールの見直しに着手した。
米証券取引委員会(SEC)の元職員で現在はマサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院の金融学教授を務めるハオシアン・チュー氏は「今では、多くの証券で取引手数料がかからず、過剰な手数料負担を心配する必要性は低下した」とし、「そのため、PDTの証拠金要件を若干引き下げても問題ないと思う。それが手数料ゼロの証券に適用されるなら、なおさらだ」と語る。
事情に詳しい関係者によると、FINRAがこのルール改正を検討する中、証券会社のグループが草案を協議した。草案は今秋にFINRA理事会に提出される可能性が高い。承認が得られれば、FINRAは年内の最終承認に向けてSECに改正案を提出する見通しという。関係者は非公開の情報を理由に匿名で語った。
昨年10月下旬にFINRAがこの規則改正に関する意見募集に動いてから50以上の証券会社や顧客が意見を寄せた。現在の提案がFINRAに提出された場合、新たにコメント募集期間が設けられ、その後、SECの審査に進む。最終的な規則変更実施には最長1年かかる可能性があると、関係者は述べている。
FINRA担当者は、昨年10月に意見を募集したこと以外に「共有できる新たな情報はない」とコメントした。
原題:Day-Trading Restraints to Be Loosened Under Proposed Rule Change(抜粋)
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