米メタプラットフォームズは、欧州連合(EU)人工知能(AI)規制法の手引きとして示した「行動規範」について、企業に過度な要求を課しているとして、署名しない方針を明らかにした。

メタのグローバル問題担当責任者ジョエル・カプラン氏は18日、リンクトインへの投稿で意向を表明した。同氏は「欧州はAIに関して誤った方向に進んでいる。この規範は、モデル開発者に法的な不確実性を数多くもたらすうえ、AI法の範囲をはるかに超える措置を含んでいる」と批判した。

EUは、10日にこの行動規範を公表した。企業がAI規制法に適合するための体制を整える支援を目的とした自主的枠組みで、著作権保護や高度なAIモデルに対する透明性に関する要件、モデルの特性に関する文書提出義務も盛り込まれている。この行動規範に署名することで、企業側はAI規制法違反を問われた場合にも、法的保護を受けやすくなるとされている。

EUの執行機関、欧州委員会のデジタル分野担当報道官トマ・レニエ氏は、「行動規範に署名しないAI提供者は、他の手段によって法令順守を示す必要がある。その結果、より厳格な規制監視の対象となる可能性がある」としている。

AI規制法や行動規範は、米国のテック企業と欧州の規制当局との間で繰り返されてきた対立において、最新の焦点となっている。トランプ米政権は、欧州のテック規制や制裁金が米企業を不当に標的にしていると非難しており、この行動規範に対しても、4月時点の最終化前に反対意見をEUに伝えていた。

ASMLホールディングス、エアバス、ミストラルAIなど数十の欧州企業も今月、欧州委員会宛の公開書簡でAI規制法の施行を2年間延期するよう求め、「イノベーションに優しい規制アプローチ」を呼びかけている。

AI規制法は段階的に施行されており、チャットGPTのような汎用AIモデルに関する規定は、8月から適用される予定だ。行動規範は、最終的には欧州委員会と加盟国の承認を経て正式化される。

原題:Meta Says It Won’t Sign EU’s AI Code, Calling It Overreach (1)(抜粋)

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.