20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は18日、共同声明を採択し、国際的な政策協力のコミットメントを表明した。米国が主導する貿易戦争によって緊張が高まる中、異例のコンセンサスに達した。

共同声明では「世界経済は継続する戦争や紛争、地政学的および貿易面での緊張など、不確実性の高まりと複雑な課題に直面している」と指摘。「われわれは世界経済が直面する既存および新たなリスクに対処するため、多国間協力の強化の重要性を強調する」と明記した。

動画:南アのゴドングワーナ財務相のインタビュー

この合意は、南アフリカ東部のダーバン近郊で開催されたG20会議で締結された。貿易戦争がG20が基盤とする多国間主義にひずみをもたらし、今年の議長国南アによる議事運営を複雑化させていた。

南アのゴドングワーナ財務相は「このような時期に、全加盟国が債務救済、気候変動対策への資金拠出、税務面での協力、金融安定に関する文言に合意したことは、われわれが採用したアプローチの成功を物語っている」と述べた。

G20による共同声明の採択は、今年初めてとなった。5ページにわたる声明では、関税についての直接的な記述はなかった。しかし、ゴドングワーナ氏は関税が比較的最近の問題だとした上で、「特に関税に言及していないが、世界経済の成長に影響を与える幅広い問題に関する議論には、経済成長に対するさまざまなリスクが含まれていた」と述べ、この点を重要視しない姿勢を示した。

「中央銀行の独立性」

G20当局者はまた、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長への支持を表明した。同議長は関税がインフレを招くとの懸念から利下げを控えており、トランプ大統領から強く批判されている。

声明では「中央銀行はそれぞれの責務に基づき、物価の安定を確保することに全力を尽くし、データに応じて政策を引き続き調整する」と表明。「この目標を達成するには、中銀の独立性が不可欠だ」と続けた。

南ア準備銀行(中銀)のクガニャゴ総裁は閉会の記者会見で、独立性の問題が「協議の中で強く取り上げられた」と述べた。

声明は「経済成長、金融および物価の安定に影響を与える異常気象や自然災害の多発」にも明確に言及している。気候変動に関する表現は、これまでトランプ政権にとって争点となってきた。

ベッセント米財務長官は訪日を優先してこの会議を欠席したが、米国代表団は出席した。

ドイツのクリングバイル財務相は共同声明の採択について「慎重かつ巧みに交渉を進めてきたG20議長国にとって大きな成果だ」と評価し、「多国間主義を支持する強いメッセージだ」と語った。

原題:G-20 Seals Communique in Show of Unity Despite Trump Trade War(抜粋)

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