オーストリア中央銀行の次期総裁に就任予定のコッハー労働・経済相は、トランプ米大統領による連邦準備制度理事会(FRB)の独立性を損なうような言動が、物価安定を危険にさらすと指摘した。

コッハー氏は、9月にホルツマン現総裁の後任として、欧州中央銀行(ECB)の政策委員会メンバー入りする予定だ。同氏は自身のウェブサイトへの投稿で、トランプ政権が「疑わしい法的根拠に基づき、米国の債務コストを引き下げるという明確な意図をもってFRBの独立性を軽視している」としている。

また、「政府が財政政策と金融政策の両方を掌握すれば、金利を引き下げたり、マネーサプライを増やしたり、支出に直接資金を充てたりすることで、短期的な財政運営の余地を広げることはできる」とした上で、「しかし、こうした手段はいずれもインフレを助長し、最悪の場合には急激なインフレやハイパーインフレにつながる恐れがある。経済史にはその明確な実例が存在する」と述べた。

トランプ氏は、現在の米国の金利水準を「高すぎる」とみなし、FRBに利下げを迫る圧力を執拗にかけ続けており、独立機関であるべきFRBに対し、米大統領がどこまで影響を及ぼすべきかという議論が浮上している。

原題:Trump’s Fed Threat Is Risk to Prices, Incoming ECB Official Says(抜粋)

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