(ブルームバーグ):ウォラー米連邦準備制度理事会(FRB)理事は、今月の連邦公開市場委員会(FOMC)で他のメンバーが金利据え置きを支持する場合、反対票を投じると示唆した。
ウォラー氏は18日、ブルームバーグテレビジョンのインタビューで、頻繁に反対を唱えるべきではないと前置きした上で、「いまこの時に、これをすることが重要だという極めて明確な考えがあるのなら」、それに踏み出すべきだと語った。
「自分は今年初め、バランスシート縮小ペースの減速に反対票を投じたが、それは必要ないと感じたからだ。われわれは今、似たような状況にいる」と述べた。

ウォラー氏は、米労働市場が「瀬戸際」にあるとデータが示唆しているため、今月のFOMCで利下げをすべきだとする前日の講演で示した見解をあらためて繰り返し、「民間部門は一般に考えられているほど堅調ではない」と主張。「先月の雇用増加の大半は公的部門だった。つまり、民間部門の状況はあまり良くないということだ」と論じた。
今月3日に発表された6月の雇用統計では、失業率はわずかに低下したものの、民間部門の雇用の伸びが大幅に鈍化し、賃金上昇率も減速した。一方、インフレ率は引き続き低水準だったが、関税のコストが消費者に転嫁され始めている初期的な兆しも見られた。
ウォラー氏の発言後、ブルームバーグ・ドル指数は一時0.4%下落し、日中安値を更新。米国債利回りは小幅に低下した。29日と30日に開かれるFOMCについて、投資家は金利据え置きを見込んでおり、金利スワップ市場に従うと9月の利下げは確率約60%とみられている。
FRB議長の職
ウォラー氏は、来年5月に任期が切れるパウエルFRB議長の後任候補の1人として名前が挙がっている。18日のインタビューでは、これについてトランプ大統領から打診を受けたことはないと説明した。
トランプ氏がFRB議長の職を引き受けて欲しいと言ってきたら、「自分は『イエス』と答えるだろう。だが、そう言ってきてはいない」と述べ、「無意味な仮定の話だ」と続けた。
金融市場が信頼する候補をトランプ氏が選ぶことが重要で、そうでなければインフレ期待と金利は上昇するだろうと指摘。
「誰が選ばれようとも、市場に信頼されている人物である必要がある」とし、次期FRB議長にそのような信頼がなければ、「インフレ期待は急上昇するだろう。利下げはなくなり、金利は上昇する」とウォラー氏は語った。
原題:Fed’s Waller Hints at July Dissent as He Makes Case for Rate Cut(抜粋)
(ウォラーFRB理事の発言や関連情報を加えて更新します)
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