(ブルームバーグ):18日の日本市場は債券が上昇(金利は低下)。参院選で与党が過半数割れすることは織り込み済みで、選挙後も大幅な金利上昇は避けられるとの見方から買いが入った。株式は反落し、円の対ドル相場は148円台後半でもみ合った。
りそなアセットマネジメントの藤原貴志チーフファンドマネジャーは、債券市場では与党が過半数割れしても石破茂首相が続投するシナリオが意識されたと指摘。選挙後に大規模な財政支出が行われるとの予想に基づく選挙トレードの巻き戻しが続いたと言う。
20日投開票の参院選で自民、公明の連立与党の非改選を含めた議席数が過半数(125議席)を下回る可能性が報じられている。大幅に割り込めば、石破首相の求心力は低下する。一方、衆院選と異なり参院選後に首相指名選挙を行う必要はないため、参院選で過半数割れしても首相を続けることは可能だ。
債券
債券相場は上昇。参院選を巡る見立てに日銀の定例国債買い入れオペの結果が良かったことも支援材料になった。
東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストは、オペの倍率がおしなべて低く、売りたい投資家が少なかったことが好感されたと分析。「参院選で与党が過半数割れしても石破首相が退陣しない可能性が高いとの認識が浸透しつつあることも買い安心感につながった」とも話した。
日本銀行は午前10時10分に定例の国債買い入れを通知。対象は残存期間1年超3年以下、3年超5年以下、5年超10年以下、10年超25年以下で、買い入れ額はいずれも据え置いた。
新発国債利回り(午後3時時点)
株式
東京株式相場は反落。一時4万円の大台を回復した日経平均はTOPIXと共に上昇後にマイナスに転じた。与党の劣勢が伝えられる参院選の投開票を20日に控え、投資家の間では積極的に買いを入れる動きに乏しかった。
業種別では円相場がやや円高方向で推移する場面があり、機械など輸出セクター、第2四半期の出荷見通しが予想に対し下振れたディスコが急落するなど半導体関連株の一角が安い。半面、食料品や情報・通信などディフェンシブセクターの一部、非鉄金属や化学など素材セクターは堅調だった。
インベスコ・アセット・マネジメントの木下智夫グローバル・マーケット・ストラテジストは、相場は「自公の過半数割れを織り込んでいるように動いている。財政懸念もあり、きょうは様子見ムード」と解説。海外投資家にとっても今回の選挙は他人事ではなく、長期金利の行方も注目されており、警戒感から「株は上がりにくい」との見方を示していた。
為替
東京外国為替市場の円相場は1ドル=148円台後半で推移。ウォラー米連邦準備制度理事会(FRB)理事が今月の利下げを主張し、ドル売りがやや優勢となったが、参院選を前に円の上値も限られた。
あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストは、6月の小売売上高は強かったものの、米金利が上昇せず伸び悩んだところにウォラー氏の発言でドルは下落したと指摘。加藤勝信財務相が為替動向に触れる発言をしてドルの上を攻めにくく、全国消費者物価指数(CPI)が高止まりして日銀が利上げしやすい環境にもあり、ドルの重しになったと言う。
一方、三菱UFJ信託銀行資金為替部マーケット営業課の酒井基成課長は、週明けの外為市場は結果を見てポジションを取るので、日本が休場の21日に大きく動くことが考えられると話していた。
この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。
--取材協力:山中英典、アリス・フレンチ、長谷川敏郎.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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