トランプ米大統領は来週、人工知能(AI)に関する重要な演説を行い、同分野における米国の優位を確保するためのビジョンを示す予定だ。米中対立の中心にあるAI技術について、これまでで最も重大な発言をすることになる。

トランプ氏は23日に「AI競争に勝つ」と題されたイベントで演説する方向だと、政権当局者が匿名を条件に明かした。このイベントは、ホワイトハウスのAI・暗号資産責任者デービッド・サックス氏と、同氏が司会を務めるポッドキャスト番組「オールイン」の他の共同司会者によって企画されたという。

トランプ政権はAIに関する行動計画の最終調整を進めている。これはトランプ氏が1月の就任直後に発出した大統領令に基づく政策指針で、月内に公表される予定。この青写真は、産業界の意見を取り入れつつ、サックス氏とホワイトハウスのテクノロジー顧問、マイケル・クラツィオス氏が主導し策定された。

事情に詳しい関係者1人によると、トランプ氏は行動計画の公表後、その実行に向けた大統領令に署名する見通しだ。

トランプ大統領

トランプ大統領は米国のAI強化に意欲を示しており、民間投資の拡大やエネルギー生産に関する許認可手続きの簡素化などにも取り組んでいる。

トランプ氏と政権当局者は、地政学上の最大のライバルである中国に対抗するため、AI分野での米国の優位を維持する重要性を繰り返し強調してきた。

中国はAIに多額の投資を行っている。スタートアップのDeepSeek(ディープシーク)は1月、画期的なAIモデル「R1」を発表。AIがはるかに低コストで開発可能であることを示し、ウォール街の投資家に衝撃を与えた。

中国の脅威を巡る懸念にもかかわらず、米国はエヌビディアのAIアクセラレーター「H20」の対中輸出を認める方針で、今年に入り導入された規制が撤回されることになる。

エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は対中輸出規制について、米国の国際競争力を損ねかねない失策だと批判。先週にはワシントンでトランプ大統領と会談していた。

原題:Trump to Outline AI Priorities in Speech Asserting US Edge (1)(抜粋)

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