(ブルームバーグ):国際決済銀行(BIS)は、「ステーブルコイン」の急成長が、金融当局に新たな政策課題を生み、主要市場の貨幣主権を脅かす恐れがあると警告した。ステーブルコインは、法定通貨を担保とする仕組みなどを通じて、価格安定を目的に設計された暗号資産(仮想通貨)を指す。
BISは11日公表した報告書で、ステーブルコインの流通量が増え、伝統的金融と融合が進む現状は、一層厳しい規制・監督の必要性を示すと指摘した。ステーブルコインの時価総額は約2550億ドル(約37兆5700億円)と2023年以降倍増し、米ドル連動型の2種類のトークンに9割強が集中するという。
BISはこれまでも繰り返し、ステーブルコインと暗号資産導入に伴うリスクや、その成長が金融システムに及ぼす潜在的影響に警鐘を鳴らしてきた。BISが実施した調査によると、昨年末時点でステーブルコイン規制の枠組みが既に存在するか、策定中の管轄区域は全体の約7割に達する。
「ステーブルコインの時価総額が増大し、伝統的金融システムとの結び付きも強まっており、金融システムへの波及リスクはもはや無視できない段階に入った」とBISのスタッフは分析した。
報告書によれば、デジタル現金同等物がうたい文句となることが多いステーブルコインだが、連動する法定通貨と厳密に等価で取引されることはまれだ。銀行預金に適用されるような基本的な保護制度も存在しない。犯罪活動に関係する資産凍結を当局が要請しても、発行体の裁量に委ねられる状況だ。
原題:Stablecoin Growth Throws Up New Risks for Regulators, BIS Says(抜粋)
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