(ブルームバーグ):アルファベット傘下の米グーグルは、他社のショッピングや旅行サイトから取得した情報を検索結果画面に表示する仕組みを提案する方針だ。欧州連合(EU)のデジタル市場法(DMA)を順守し、制裁金を回避することが狙い。事情に詳しい関係者が明らかにした。
この仕組みでは、他社の価格比較サイトの情報をランク付けして検索結果画面の上部の枠内に表示する。非公開情報を理由に匿名を希望する関係者が述べた。ユーザーはグーグルの競合の米エクスペディア・グループやブッキング・ドットコムなどのサイトにアクセスするか、個別のリンクをクリックしてホテルや航空会社のページに飛ぶか選択する形となる。
グーグルが最も関連性が高いと判断したサイトが優先的に表示され、自社が運営する価格比較サイトを含むその他のリンクはプルダウンメニューに表示されるという。また、上部に表示する新たな枠の下側に旅行やショッピングサイトのリンクを簡素なリスト形式で掲示する案も検討されている。
グーグルの検索結果表示の変更計画については、ロイターがすでに報じていた。
昨年施行されたDMAは、ハイテク大手による市場支配力の乱用防止を目的としている。プラットホームで自社サービスを優先的に扱うことを違法とし、異なるサービスごとの個人データを統合することも禁止している。違反した場合の制裁金は、世界の年間売上高の最大10%で、再び違反すると20%が課される。
EUの執行機関である欧州委員会は3月、グーグルが航空券を検索する「グーグルフライト」などの自社サービスを検索結果画面に表示されやすくしているため、制裁金を科す可能性があると警告していた。同社は昨年、競合のショッピングサイトを閉め出したとして24億ユーロ(約4080億円)の制裁金が科された訴訟で敗訴している。
DMAに違反したとして4月に5億ユーロの制裁金を科されたアップルは先月、「アップストア」の仕様を変更し、サードパーティーのアプリ開発業者がアップルのシステムを経由せずに利用者から料金を受け取る場合のコスト軽減などを提案している。
メタ・プラットフォームズも、個人情報を広告目的で利用されることに同意しない場合、広告を非表示にするためには有料での利用を求められる仕組みをインスタグラムとフェイスブックで展開したとして、2億ユーロの制裁金を科されている。
EUの米ハイテク大手に対する規制について、トランプ米政権は反発しており、米国家安全保障会議(NSC)のヒューズ報道官は、DMAに基づく制裁金を「新手の経済的なゆすり」だと非難。米欧の通商交渉における緊張が高まっている。
原題:Google to Propose Price-Comparison Box in Search to Appease EU(抜粋)
もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.