欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバーのレーン・フィンランド中銀総裁は2日、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、インフレ率が長期間にわたり2%の物価目標を下回り、ユーロ圏の消費者の物価見通しに影響が及ぶことに懸念を示した。

米国の関税措置による景況感の悪化や、ユーロ圏20カ国の経済の低迷により、ECBは、インフレ率が今後18カ月間2%を下回ると予測している。レーン氏は、現在のリスクは「双方向にある」としつつ、「インフレ率が長期にわたり目標を下回ることに、かなり懸念を抱いている。その状況が持続的になり、インフレ期待に定着してしまわないよう、私たちは十分に注意を払わなければならない」と強調した。

物価上昇率が目標の2%となり、経済が貿易摩擦や戦争といった逆風に直面する中、ECBはさらなる利下げの必要性を慎重に見極めている。市場では、ECBが24日の政策委員会会合で中銀預金金利を2%に据え置くとの見方が支配的だが、年内にもう1度利下げがあるとの予想もある。

レーン氏は「私たちは良好な状況にあるが、油断はできない」と述べた。

ECB当局者の一部には、ユーロの急激な上昇がインフレ目標の達成を妨げるとの懸念も出ている。デギンドス副総裁は1日、ブルームバーグテレビジョンのインタビューで「ユーロが1.20ドルを超えるような上昇を見せれば、状況は『はるかに複雑』になる」と語った。

レーン氏は、ECBがユーロの特定水準を目指していないという従来の立場を繰り返しつつ、今年に入 りユーロがドルに対して上昇したことが、ECBにとって追い風となっている点は認めた。同氏は「ユーロ高は、現時点で2%の目標達成に貢献している。為替の動向については引き続き注意深く見守っている」と語った。

原題:ECB’s Rehn Worried About Effects of Lengthy Inflation Undershoot(抜粋)

--取材協力:Joao Lima.

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